2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Modern Development of Japanese sport dedicated to Jinja (Shinto shrines):Relationship between Jinja (Shinto shrines) , the Imperial House and Sport Culture
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21K11367
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
藤田 大誠 國學院大學, 人間開発学部, 教授 (20407175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本的奉納競技 / 神社 / 皇室 / スポーツ文化 / 明治神宮外苑 / 明治神宮大会 / 神前(祭典)スポーツ / 天覧試合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の研究計画は、①「明治神宮外苑」体育・スポーツ施設の伝播に関する現地調査と資料蒐集、②「明治神宮大会」に関する通史的研究に関する題材で研究成果発信、③「奉納競技」「天覧(台覧)試合」に関する諸記録の蒐集と基礎データの作成であった。 ①は、橿原神宮(及び奈良県立図書情報館)所蔵資料の現地調査を軸に古書購入、遠隔複写などによって各種関連文献・資料の複写蒐集、整理を網羅的に行い、実証的分析を進めた。成果の一部は、「日本的奉納競技空間の近代的展開―橿原神宮外苑の形成と体育・スポーツ施設―」(スポーツ史学会第36回大会一般研究発表)で報告を行った。 ②は、学会発表として「過渡期としての「明治神宮体育大会」の展開」(体育史学会第11回大会一般研究発表)や「「国民体育」から「国民錬成」へ―総力戦体制下の明治神宮大会―」(教育史学会第66回大会研究発表)を行い、学術論文「明治神宮大会の展開と満洲スポーツ界」(『國學院大學研究開発推進センター研究紀要』第17号)を公表した。 ③は、網羅的な諸記録の蒐集、分析を進める中で、特に神道や皇室との関係が深い國學院大學における運動部活動史を検討するための必須資料を所蔵する埼玉県立図書館〔熊谷図書館〕の現地調査、複写蒐集を行い、学会発表「近代日本の高等教育機関における運動部活動に関する一考察―大正・昭和戦前期の國學院大學を事例として―」(國學院大學人間開発学会第14回大会研究発表)、学術論文「明治期における國學院の運動部活動―國學院同窓會の体育部から運動部への展開―」(『國學院大學校史・学術資産研究』第15号)に結実させた。また、「奉納競技」に関する研究史整理の一環として、学会発表「昭和戦前期におけるスポーツ人類学的著作の先駆とその背景―刈屋卓一郎『スポーツの由來とその轉化』の序説的考察―」(日本スポーツ人類学会第24回大会研究発表)も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、スポーツ科学の人文・社会科学的研究(主に体育・スポーツ史、スポーツ人類学、スポーツ社会学)と神道史、皇室史とを架橋する視座から、「日本的奉納競技(神前・祭典スポーツ)」の近代的展開を実証的、総合的に検討し、神社・皇室と密接な日本スポーツ文化の特質と構造について解明することを目的としている。具体的には、①「日本的奉納競技」の近代的様相を体現したスポーツコンプレックス「明治神宮外苑」の形成過程と展開、その空間方式の伝播に関する考察、②明治神宮外苑競技場竣工に伴い創設された「明治神宮大会」に関する詳細な通史的検討、③全国の「奉納競技」「天覧(台覧)試合」諸記録の蒐集による基礎データ作成という三本柱の課題を立てている。 2年目(令和4年度)の研究計画は、①「明治神宮外苑」体育・スポーツ施設の伝播に関する現地調査と資料蒐集、②「明治神宮大会」に関する通史的研究に関する題材で研究成果発信、③「奉納競技」「天覧(台覧)試合」に関する諸記録の蒐集と基礎データの作成であった。1年目には適わなかった現地調査も含めて各種関連資料を網羅的に複写蒐集することができ、①は学会発表1回、②は学会発表2回、学術論文1本、③は学会発表2回、学術論文1本の成果を得、いずれも概ね予定通りに研究を推進することができた。 特に②の成果である学術論文「明治神宮大会の展開と満洲スポーツ界」(『國學院大學研究開発推進センター研究紀要』第17号)は、すでに作成済みで次年度刊行の共著論文集に掲載予定の「「満洲国」スポーツ界と明治神宮大会」とともに、曲がりなりにも明治神宮大会を通観する内容となっている。 但し、「奉納競技」「天覧(台覧)試合」に関する諸記録の網羅的蒐集は進んだものの、一定の形式を備えた基礎データとして整理するまでには至っていない。 以上のことから、総合的に見れば、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目(令和5年度)は、当初計画通り、①「明治神宮外苑」体育・スポーツ施設の伝播事例に関する現地調査と研究成果発信、②「明治神宮大会」に関する通史的研究の完成、③「奉納競技」「天覧(台覧)試合」に関する基礎データの完成という三つの課題に関する研究推進を行う。なお、最終年度はこれまでの学会発表内容の論文化と『研究成果報告書』作成に傾注する。 課題①は、「明治神宮外苑」の前史となる空間(例えば靖國神社、彌彦神社、皇學館大学の競技場等)、または明治神宮そのもの、さらには「都市としての明治神宮」の伝播事例(札幌神社や橿原神宮、海外神社等)について、現地調査(現状の環境確認も含む)を含めて新たな関連資料の複写蒐集、分析を行いつつ、「都市としての明治神宮」の伝播を主題として、2年目に関連学会で口頭発表した内容などの論文化に取り組み、学術誌に投稿する。 課題②は、2年目に行った学会発表の論文化に取り組みつつ、内務省衛生局主催「明治神宮競技大会」、明治神宮体育会主催「明治神宮体育大会」、厚生省主催「明治神宮国民体育大会」、「明治神宮国民錬成大会」への変遷を総合的に解明し、これまでの成果を集約した「明治神宮大会」に関する詳細な通史的研究をとりまとめ、原稿を完成する。 課題③は、2年目に発表した学会発表や学術論文の成果を踏まえつつ、「近代日本の「奉納競技」「天覧(台覧)試合」基礎データ」をとりまとめ、原稿を完成させる。 最終的には、①「都市としての明治神宮」の視点に基づく「明治神宮外苑」の体育・スポーツ空間研究、②「明治神宮大会」に関する通史的研究、③「近代日本の「奉納競技」「天覧(台覧)試合」基礎データ」という三つの内容を含む本研究の『研究成果報告書』を作成して印刷製本し、各所に配付する。 以上の取組みにより、神社・皇室と深い関係を結びつつ展開した日本スポーツ文化の特質と構造を解明する。
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Research Products
(7 results)