2022 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴い発症するミトコンドリア関連性疾患の機能解析と予防治療
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21K11678
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八木 美佳子 九州大学, 医学研究院, 助教 (70536135)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / NAD+ / 老化 / リソソーム / NMN / HIF1α |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアタンパク質p32心臓特異的ノックアウトマウス(p32cKO)を拡張型心筋症モデルマウスとして用い、疾病発症メカニズムの解析と予防治療の開発を目的として研究を行った。 我々の用いたp32cKOでは、発症メカニズムとしてミトコンドリア翻訳機能障害からNAD合成量が低下し、それにともないリソソーム機能低下によりオートファジー分解能低下を見出した。NADは老化とともに減少することが知られており、ミトコンドリアやリソソームの機能低下にもつながる。したがって、p32cKOで減少するNAD量を増加させることができれば治療効果が期待できると考えた。NAD前駆体NMNを投与し、その効果を検証した。NMNは飲水により2か月齢より投与し、9か月齢で心臓を採取しその効果を検証した。NMN投与によって、p32cKOは心筋症の改善がみられ、寿命も伸びた。その効果は、特にリソソーム機能に影響し、オートファジーによる分解能は改善したがミトコンドリア機能の改善は見られなかった。NMNはミトコンドリア病の近本的な治療には効果はなかったが、ミトコンドリア機能障害から生じるリソソーム機能障害には効果を発揮した。さらに、NMNの投与開始時期を2か月齢から6か月齢に変更すると寿命改善効果は得られなかった。NMNは長期投与によって改善効果が期待できると考えている。また、p32cKOではフェロトーシスが誘導されていることがわかったため、フェロトーシスによる細胞死にもNMNは効果があるのか検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMNを長期投与したマウスの個体がそろってきたため、解析が可能になった。寿命、病態解析、機能解析などが予定通りに行えた。分子機序の解明のために解析を進めると、鉄による細胞死、フェロトーシスが誘導されていることが確認できた。このフェロトーシスについても解析を進めている。さらにNMN投与時期を2か月齢から6か月齢に変更したマウスも寿命確認ができた。こちらも予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
このノックアウトマウスではフェロトーシスが誘導されていることが分かった。フェロトーシスのマーカーであるRNAやタンパク質の検出によってフェロトーシスの特にどの経路に障害が生じるのか検証する。さらに組織では確認が困難な解析は培養細胞を用いて検証する。
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Causes of Carryover |
マウスの寿命を確認するために長期で飼育しているが、予想より解剖が少なかったため物品費がかからなかった。次年度は老化マウスが出来上がるため、解剖が増え物品費が多く必要となる。
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Research Products
(8 results)