2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11896
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒澤 茂之 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (80530823)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深層学習モデル / 電子透かし / 世代管理 / 派生モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
深層学習モデルを活用したシステム開発においては、個々の条件に合わせて既存の学習済みモデルを調整した派生モデルの構築と利用が不可欠であり、それらのモデルの権利者情報を適切に管理できることが求められる。本研究では、学習済みモデルの内部に著作権者の情報を埋め込む電子透かし技術によって、正当な利用者による深層学習モデルの二次利用や世代管理情報の追記法の確立を目的とする。研究のステップとして、(1)電子透かし追記時の影響評価、(2)影響を緩和した追記方式の確立、(3)正当な改変と違法な改変の判別、(4)対象タスクの拡張、(5)プロトタイプソフトの開発と公開という内容で進めていく。 電子透かしの入っている深層学習モデルに加えたクエリ入力と推論結果の出力だけが観測できることをblack-boxと呼ぶが、2021年度はblack-box型の電子透かし技術として、著作権者の情報が視覚的に確認可能なロゴの形で表現できる電子透かし方式における電子透かし追記に関する評価を行った。具体的には、100種類の画像を見分けることのできるCifar-100対応の深層学習モデル”WideResNet”に対して、最初に親世代の電子透かしを埋め込む。ついで、そこに子世代の異なる電子透かしを追記する実験を行った。様々な実験の結果、子世代の電子透かしの埋め込み時に、親世代の電子透かし用学習データと、Cifar-100の学習データを少量加えて同時に学習させることで、親世代と子世代の電子透かしが同居する形で埋め込み可能であることを示した。この知見に関して、2022年2月に開催された情報処理学会オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、white-box型を先行して研究し、black-box型を後追いで並行して進める予定であったが、実際にはblack-box型に絞った研究として遂行した。一定の研究成果が出ており、学会発表に至っていることから、順調に進展と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
時期的に後回しとしたwhite-box型については、2022年度に集中的に研究し、学会発表できるレベルの成果をあげる。その経過を踏まえつつ、親世代の電子透かしが子世代の電子透かしによって忘却されることを抑制するための新しい電子透かし追記技術に着手する。
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Causes of Carryover |
半導体不足の影響で希望する計算機をタイムリーに購入することができなかったため、2022年度に改めて購入する。また、学会発表にかかる費用はオンライン化で極めて低額に抑えられ、大学内の支援金で賄うことができたため、旅費支出が無かった。
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