2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K11896
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒澤 茂之 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (80530823)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電子透かし / ディープラーニング / 著作権保護 / 世代管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
深層学習の広範な利用を促進するための基盤となる研究を実施した。学習済みモデルを再利用する際に、正規の手続きを踏んで再利用することを可能とするような学習モデルの流通が想定される。その際に必要となるのが、学習モデルの著作権者を管理できる仕組みであり、それは派生モデルの世代をさかのぼって著作権者情報を保持できることが望まれる。 2023年度では、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルのwhite-boxセッティングにおいて、2世代の世代管理を4世代にまで拡張する技術の検討を進めた。電子透かし埋め込みに用いるパラメータ空間(ニューラルネットワーク内の重み係数群)の分割方法を工夫することにより、最終的に256ビット×4世代分の情報を埋め込み、検出することに成功した。この成果を2023年10月に開催された国際会議2023 IEEE 12th Global Conference on Consumer Electronics (GCCE 2023)、及び2024年1月に開催された国際会議 International Workshop on Advanced Image Technology 2024 (IWAIT 2024)において発表した。 また、上記のCNNモデルに対する研究に加えてVAE(変分オートエンコーダ)に対しても電子透かし埋め込みの検討を行った。その結果、学習時のコスト関数の改変によって、エンコーダ・デコーダのいずれにも電子透かし埋め込みが可能であることを実験結果によって示した。さらに、電子透かしの有無によって、エンコーダ出力である潜在空間の分布の差異を明らかにした。この成果を2024年2月に開催された情報処理学会オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のステップとして、① 電子透かし追記時の影響評価、②影響を緩和した追記方式の確立、③正当な改変と違法な改変の判別、④対象タスクの拡張、⑤プロトタイプソフトの開発と公開を計画していた。 2023年度は②の性能の大幅な改善により4世代にわたる世代管理が可能な電子透かし技術を開発した。また、④に関して、異なるタスクを実施するVAEについても電子透かし埋め込みを実現するとともに、③の判別に関わる潜在空間の分布の特性についても予備的な知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、③の判別に関わる違法な改変についての分析を行い、判定方法の確立を目指す。 これらの研究成果について、⑤のプロトタイプソフトの開発と公開を進める。
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Causes of Carryover |
出張を予定していた学会がオンライン開催に変更となり、その旅費分が差額となった。 2024年度では、研究進捗によって得られた成果を更に学会で発表し、研究成果を広報するために使用する。
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