2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of multiscale alloy strength simulator based on dislocation-precipitate interactions
Project/Area Number |
21K11924
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 昭如 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (00366444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 転位ー析出物相互作用 / 転位動力学法 / 重合メッシュ法 / 整合ひずみ / 析出物 / 臨界分解せん断応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に開発した重合メッシュ法(以下SFEM)と転位動力学法を組み合わせた合金強度シミュレータを用いて,合金の強度に対する析出物の形状や分布の影響のシミュレーションを実施した.体積の等しい球状の析出部と円盤状の析出物が転位の運動に与える抵抗(臨界分解せん断応力)を計算した.その結果,転位のすべり面の位置により臨界分解せん断応力の大きさは変化するが,臨界分解せん断応力の最大値を比較すると,球状析出物の方が転位に対して強い抵抗を与えることが分かった.さらに,析出物の体積分率を変化(最大で1%)させた合金の微視組織のモデルをSFEMを用いて作成し,析出物の体積分率と分布の影響を調べた.析出物の体積分率が大きいほど,転位が移動するために必要な臨界分解せん断応力が大きくなることを確認した.また,同じ体積分率であっても臨界分解せん断応力は広く分布することを確認した.特定の体積分率において,最大と最小の臨界分解せん断応力をとるケースを確認したところ,析出物が比較的密になっているすべり面を移動する場合は臨界分解せん断応力が大きくなり,析出物が疎に分布しているすべり面を移動する場合は臨界分解せん断応力が小さくなることを確認した.また,析出物を分布させたモデルにおいても,球状の析出物が分布した場合の方が円盤状の析出物が分布した場合よりも臨界分解せん断応力が高くなることがわかった.しかし,両者の差は,転位が一つの析出物と相互作用する場合と比べて小さくなっていた.これは,球状の析出物よりも円盤状の析出物の方が転位とぶつかる確率が高いためであると考えられる.このように析出物の形状と分布が合金強度に対して重要な役割を果たしていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画は1)重合メッシュ法(以下SFEM)を用いた析出物周りの応力場の高精度な計算,2)SFEMにより計算された析出物周りの応力場の転位動力学 法への実装(方法の検討),3)転位と析出物の相互作用における析出物形状の影響評価,4)合金単結晶の応力ーひずみ応答解析である.2022年度において は,3)について十分な進捗を得ることができた.すなわち,本研究で開発するマルチスケール合金強度シミュレータを用いて析出物形状の影響を評価する20ことに成功 した.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,より様々な析出物形状を取り扱い,析出物形状や分布の影響について,より深い理解を目指す.また,ひずみ速度を与えた数値計算も行い,応力ひずみ関係についても考察を行う.
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