2021 Fiscal Year Research-status Report
オールドヴァイオリンの非侵襲かつ定量的な音質評価手法の開発
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21K11969
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
横山 真男 明星大学, 情報学部, 教授 (30633044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢川 元基 東洋大学, 計算力学研究センター, 客員研究員 (40011100)
武居 周 宮崎大学, 工学部, 准教授 (40598348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヴァイオリン / 振動解析 / 音響解析 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では、COMSOL Multiphysicsを用いた有限要素法によるヴァイオリンの本体の振動モードと周辺音場の連成数値シミュレーションを行った。数値シミュレーションに用いる3Dのジオメトリデータの取得については、マイクロCTスキャナを用いてA.Stradivari作のヴァイオリンを3本、0.1mmの精度でスキャンした。オールド楽器の中でも評価の高いストラディヴァリを3本計測して、CADデータ化に成功したことは大変貴重なことである。また、いくつかのパターンで演奏録音を行い、今後の楽器の音色の解析への応用が期待できる。 数値シミュレーションでは、ヴァイオリン全体の固有振動および駒を強制振動させることによる振動の解析をそれぞれ行い、同時に周辺の音の放射を計算した。これまで簡易的なモデルでのシミュレーション結果は他研究でも報告されてきたが、詳細なオールド楽器全体を取り扱った計算例は世界的にも類がない。ヴァイオリンの振動解析においては1000Hz以下の低次モードに着目して解析が行われている。その代表的なモード振動が実験結果とよく合っていることが確認できた。一方、駒の強制振動による楽器の振動と放射は前例がないため今後実験との比較など詳細な検証を行う。 さらに、ヴァイオリン本体の近傍の周辺音場もシミュレーションできたが、これまでの実験環境で行われてきた解析を数値シミュレーションで代替できる可能性を示せた。現在は弦の加振による楽器の振動と音場の解析にまで拡張したい。そのために、スーパーコンピュータの利用による大規模数値計算システム(Adventure Sound)による解析の検討を行っている。ヴァイオリンの本体の形状を読み込み、定常状態の音の放射を計算する準備段階に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3本の楽器のCADデータ化が完了し数値シミュレーションによる固有振動および強制振動による計算が行えたため。また、いくつかの結果については学会での発表も行えているため。大規模並列計算の定常解析の準備段階まで完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、オールド楽器のスキャンとCADデータ化を進める。固有振動と強制振動、および放射音場における楽器の共通性や個体差について分析を行う。 大規模並列計算については、楽器表面の加速度もしくは音圧の分布を入力として周辺音場の定常計算・非定常計算を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究者の使用額が予定より少ない。新型コロナなどにより学会参加や実験予定などを見送ったため、次年度に繰り越して使用する予定。
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Research Products
(4 results)