2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K11981
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
塙 大 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (50422506)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遠赤外線画像 / 口呼吸 / 非接触計測 / 流速 |
Outline of Annual Research Achievements |
遠赤外線画像を用いたヒトの口呼吸の非接触計測の実現に向けて,基礎検討および技術課題の明確化を行った. はじめに,申請者らが考案した流速の推定法について,精度の向上を試みた.申請者らはこれまでに,呼吸部位の温度の時間変化を用いて流速の瞬時値を定量的に推定する手法を考案している.しかしながら,この手法を本研究への応用するためには,遠赤外線画像より取得した温度のノイズ,および,個人差による推定精度の低下を改善する必要があることが判明した.そこで,移動平均を用いた平滑化フィルタの導入,および,最大値・最小値を用いた正規化処理により,これらの影響を軽減する方法の考案を行った. 次に,鼻呼吸を対象に,呼吸部位における気温の変化速度から呼気および吸気の流速を推定する実験を,呼吸の仕方を変えた5種類の実験条件(通常呼吸,強い呼気・通常吸気,弱い呼気・通常吸気,通常呼気・強い吸気,通常呼気・弱い呼気)の下で行った.その結果,考案した手法は,申請者らの従来法よりも推定精度が平均で約5%向上することが確認された.さらに,遠赤外線画像より取得した呼吸部位の温度から,呼気および吸気における気温を推定する実験を,同様の実験条件の下で行った.その結果,考案した手法は,申請者らの従来法よりも推定精度が平均で約12%向上することが確認された.一方,考案した手法を口呼吸へ応用するためには,遠赤外線画像から抽出する口腔部分の具体的な領域,呼吸中の口の形状の影響などについて,さらなる検討が必要であることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に行った検討結果より,流速の推定精度を改善する具体的な手法を考案することができた.その一方で,口呼吸への応用については,検討すべき課題がいくつか浮上したため,精度の評価実験を行うことができなかった.以上より,本課題の進捗状況は総合的に判断して,やや遅れていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
口腔部分のパーツごとの温度変化,および,口の形状の違いの影響について検証を行う.検証結果に基いて推定手法の応用および改良に向けた検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の拡大防止に伴い,国外の学会への参加予定を取りやめる必要があった.さらに,当初実施を予定していた被験者実験についても,実験方法および実験環境の再検討が必要となった.これらの理由により,学会出張のための旅費,被験者実験の実施に伴う謝金,実験機材のための物品費等を予定通り執行できなかったため,次年度使用額が生じた. 次年度使用額は,評価実験の実施に必要な機器の購入,実験補助および被験者への謝金,ならびに研究成果の発表に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)