2023 Fiscal Year Annual Research Report
ビデオコミュニケーションにおける情報伝達因子の検証
Project/Area Number |
21K11988
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大久保 雅史 同志社大学, 理工学部, 教授 (10233074)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報伝達 / 伝達度 / 伝達感 / 身体動作 / 注意資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビデオコミュニケーションにおいて、ノンバーバル情報がどのように発信・受信されるのかを対話実験により明らかにし、引き込み現象を誘発する情報因子について検証することを目的としている。また、情報伝達における正確性すなわち「伝達度」と、話し手と聞き手がお互いに情報を共有できたと感じる「伝達感」をコミュニケーションの指標として用いている. まず、対面でノンバーバル情報を視覚的に制御したコミュニケーション実験を実施している。対話者の間に調光ガラスを設置し、透過度を変化させた。高視認性の場合、互いの表情や身体動作が確認できる。中視認性では表情は見えないが、身体の動きは見え、低視認性ではいずれも確認できない条件となっている。また、対面(高視認性)とビデオチャットを比較し、それぞれの伝達感、伝達度、発話率、うなずきの同調数を検証している。実験の結果、伝達感については高視認性条件が最も高く、低視認性条件よりも中視認性条件が低くなった。一方,伝達度が高いのは中視認性、低視認性、高視認性の順であった。高視認性の伝達度が低い理由としては、情報処理に必要な注意資源が視覚的なノンバーバル情報の処理に割かれ、バーバル情報への注意資源が低下したことが考えられる。ビデオチャットと高視認性条件の比較では、うなずき動作は対面がビデオチャットよりも多く見られた。このことは、ビデオチャットの場合、自身がカメラの画角に入ろうとする意識や、対話者の姿を画面上で視認したいという欲求が、頭部の動作を抑制していると考えられる。また、ビデオチャットでの伝達度の増加や発話率、頭や身体の動作の減少が見られた。これらの結果から、ビデオチャットではノンバーバル情報が抑制されるため、バーバルを中心とした情報の選択や注意、理解に注意資源が割かれ、伝達度が上がり、伝達感が下がる可能性が考えられる。
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Research Products
(14 results)