2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of support system for AI-based human perception
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21K12006
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
渡辺 英治 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 准教授 (30250252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深層学習 / 錯視 / 知覚 / 脳 / 人工知能 / 交通事故 / 運転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、視覚のエラー現象が要因となっている事故を未然に防ぐため、視覚支援をおこなうAIモデルの基礎開発研究を進めている。人の視覚の特性をモデル化したAIを人の視覚のシミュレーターとして活用するため、エラー現象である視覚の錯覚現象を再現させるようにAIを学習させている。錯視としては、動きの錯視、色の錯視、形の錯視、位置の錯視を選定し、昨年度までに動きの錯視および色の錯視についての知見を得た。その一部の研究結果を査読付き論文として発表した。本年度は動きの錯視についての人を被験者にした詳細な解析を行い、その結果を査読付き論文として発表した。色の錯視については深耕研究を行い大きな進展をみた。 動きの錯視は要素研究をおこなった。動きの錯視は黄黒青白の順で色が並んでいると動きの知覚が生じるが、AIモデルでどのような要素が動きに必要かを推定させた。その結果、3つの色の組み合わせがひとつの動きの要素になっており、黄黒青白の4色の場合はふたつの動きが統合されて非常に強い錯視を生じさせていることが判明した。本仮説をヒトの心理実験で検証したところ、AIモデルの推定が正しいことが判明した。本研究は査読付き国際誌に報告した。色の錯視については、学習用の動画を制御することで色が現れる原因を特定することに成功した。またAIモデルを利用することで新しい色の錯視の作出にも成功した。新しい錯視は今までのベンハムのコマとは白黒を反転させたデザインで、現れる色の位置が逆転する。こちらのAIモデルからの仮説推定もヒトの心理実験で検証した。色の錯視の検証については、新たにリモート実験を導入し、従来数人、多くても十数人規模の実験しかできなかった心理テストを数百人規模に増大させることに成功した。本リモート心理実験によりAIモデルが導き出した錯視知覚がヒトにおいても同じ知覚がなされることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、主に動きの錯視と色の錯視についての検討を行った。当初の計画では、動きの錯視は10種であったが300種に拡大させ、さらに本年度は深堀をして動きの錯視の原因についての研究も行った。色の錯視も10種類検討する予定だったが、むしろAIモデルが自ら色の錯視を大量に創作したことから、予定を変更してこちらも深堀をする方向に研究を行い、その結果、錯覚上の色が生じる原因と特定することになった。 予定とは少し異なる方向性となったが、色の錯視を再現するAIモデルを得たことには違いなく、またその特性から人の視覚のメカニズムの一端を明らかにしたことは大いに意義があると考える。研究はおおむね順調に進展していると言えると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策だが、当初の計画通りに進める予定である。動く錯視と色の錯視については、ほぼ研究は終了したが色の錯視についてはまだ論文報告をしていないので、それを最優先にさせたい。さらには、まだ手をつけていない形の錯視10種、位置の錯視10種を選定して、錯視が生じているかを判定していく。 形の錯視、位置の錯視についても予備実験の段階ではAIモデルは再現していることが分かっており、こちらもAIモデルが示した仮説を検証するために、人の心理実験を合わせて行う。人の心理実験は今年度開発したリモート心理実験のシステムを活用していく。いずれにしても2024年度が本研究プロジェクトの最終年度にあたるため、学会報告と論文の報告を欠かさずに進めていく。
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Causes of Carryover |
研究計画は比較的順調に進んでいると考えるが、予定していた計算機やソフトウェアの開発は研究所予算での購入を行ったため、次年度への差額が生じた。次年度においては、さらなる計算資源、及び、ソフトウェアの開発が必要である。これらの研究資源を充実させるために、次年度使用額を充てる予定としている。また円高が予想以上に進展しているため海外での学会発表や論文投稿費用は予想を超えて嵩んでいる。来年度もかなりの費用を見込んでいる。
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Research Products
(9 results)