2021 Fiscal Year Research-status Report
感性シミュレーションのためのモデル統合オントロジーの開発
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21K12094
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村松 慶一 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授(任期付) (30634274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田和辻 可昌 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (40804505)
緒方 思源 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助教 (50813573)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感性 / 色彩感情 / 脳機能 / オントロジー / メタ・モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,計算可能な感性のモデルを統合しシミュレーションを行うための概念的な基盤として,モデルの違いを吸収して複数の変数を統一的に捉えるメタ・モデルとその要素を定義するオントロジーを構築することである.具体的には,色彩感情のシミュレーションモデルと色彩情報を処理する脳機能モデルを構築し,メタ・モデルに基づいてそれらを統合することで,円滑な知識利用の実現を目指す.まず,色彩感情をシミュレーションするモデルの構築については,色配色に対する色彩感情をシミュレーションするニューラルネットワークモデルを検討した.これは,色彩配色に対して人間が典型的に認識する色彩の特徴を入力とするものである.従来研究で構築した3層構造のニューラルネットワークを基にして,生態学的妥当性を加味したモデルの検討を行った.次に,色彩情報を処理する脳機能モデルの構築については,先の色彩感情のシミュレーションモデルとは別の切り口としてIT野のニューロダイナミクスに基づいたモデルを検討した.これは,脳機能に基づいて色彩配色に対して人間が典型的に認識する色彩の特徴を出力とするニューラルネットワークモデルである.従来研究の成果を援用しながら,複数の色彩情報に対するIT野のニューロダイナミクスのモデル表現を試みた.これらにより,人間が色に対して感情的な反応を見せるという同じ事象について,それぞれ異なる観点からモデル化を行うことができ,それらがメタ・モデルによって説明される対象となる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタ・モデルを作成する対象である,色彩感情をシミュレーションするモデルおよび色彩情報を処理する脳機能モデルの基本的な構造についての議論が進展しており,次年度に具体的なデータを用いて学習を行うことでモデル構築ができる段階になっている.また,メタ・モデルとして構築するオントロジーが扱うべき概念についての議論も同時に進んでおり,当該年度の目標としてはおおむね達成しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
色彩感情をシミュレーションするモデルおよび色彩情報を処理する脳機能モデルのそれぞれで,色彩の特徴を入力として印象を出力とするモデルを構築する.具体的には,前者では多層のニューラルネットワークモデル(深層学習)を採用し,後者ではそのネットワークに加えてアトラクタネットワークを加えたモデルを構築する予定である.それによって,計算論的なモデルと生態学的妥当性を考慮したモデルの二つが構築されることとなり,それらの概念的な乖離についてオントロジーをもとに接続を試みる予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議への参加を取りやめたためである. 翌年度の請求額と合わせて,「今後の研究の推進方策」に記述したように,多層のニューラルネットワークのモデルを構築する方向性であるため,深層学習が可能な計算機の調達を計画している.
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