2021 Fiscal Year Research-status Report
気象衛星ひまわりデータ解析のための地上観測データを用いた大気補正アルゴリズム構築
Project/Area Number |
21K12229
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 浩万 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90344267)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気象衛星ひまわり / 陸域観測 / 大気補正 / エアロゾル / 地上観測 / SKYNET / 地表面反射率 / BRDF |
Outline of Annual Research Achievements |
ひまわり8号搭載AHIセンサ向けの大気補正アルゴリズムの入力パラメータの整備を中心に行った。標高データについては、AHIセンサが観測する半球面全体の処理において基本的には米国地質調査所から配布されているGTOPO30をデフォルトとし、解析地域ごとに細かい標高データの検討が必要な場合はASTER GDEM Version3などを用いることとした。本研究で使用する放射伝達コード6sV2.1に組み込まれている太陽照度のデフォルトはNickel and Labs(1984)であるが、一部の波長隊で精度が悪いため、現状ではCEOSが推奨しているThuillier2002モデルを用いている。 今年度についてはオゾン・水蒸気吸収およびエアロゾルの補正のための入力パラメータとしてTerra衛星もしくはAqua衛星に搭載されているMODISの大気プロダクトMOD08_D3/MYD08_D3を検討した。ただし、いずれのパラメータも検証地域によって地上観測等との比較検証結果において大きなずれも見られたことから、今後は、オゾン・水蒸気吸収については緯度帯および季節による大気モデル、他衛星プロダクト、全球客観解析データの検討なども行うこととした。 エアロゾルによる影響の除去については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の分野横断型プロダクト提供システム(P-Tree)から配布されているエアロゾルプロダクトの検討を行った。オングストローム指数については、地上観測値との比較からバイアスが見られるものの、大気補正の入力パラメータとしては用いることが可能であることが明らかとなった。また、確実に晴天域であれば光学的厚さについてはDailyプロダクトが有用であることがわかった。今後は、他衛星プロダクトに頼らない手法の検討についても行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ひまわり8号搭載AHIセンサ向けの大気補正アルゴリズムの開発準備として、出力精度に影響する入力パラメータの整備が行えており、おおむね順調に進展しているといえる。特に、様々な条件下における6sV2.1を用いた大気補正アルゴリズム適用実験が進められており、着実に最終目標であるひまわり8号搭載AHIセンサ向けの大気補正アルゴリズムの構築が行えている。ただ、研究成果の発表や論文化がやや遅れており、次年度では進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
大気ガス吸収およびレイリー散乱については、MODIS大気プロダクトなどの衛星データプロダクトや緯度帯および季節による簡易な大気モデル、全球客観解析データの検討などを進める。エアロゾルに対する補正については、MODISやHimawari-8 AHI大気プロダクトのほか、暗画素を利用したエアロゾルパラメータの推定などを試みる。また、大気補正検証用の地上観測データを用いた高精度化に着手する。すでに3箇所の国内検証サイトで衛星観測データの品質管理のための地上検証機器による自動観測を行っており、データはアジアを中心にした国際地上大気観測ネットワーク(SKYNET)に送られ、処理されたエアロゾルパラメータに関するプロダクトが公開されている。そのため上述の大気補正アルゴリズムに入力する大気パラメータにおいてはこれらのデータを用いた検証を行う。また、大気補正アルゴリズムの汎用性の確認のため、上記3箇所以外の海洋および砂漠など現地観測サイトにおいても携帯型サンフォトメータや放射計により構築したアルゴリズムの検証を進める。上記3箇所では屋外対応の分光放射計も設置されていることから、その分光反射率を用いた検証も行う予定にしている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、大気補正アルゴリズムに入力する大気パラメータにおいて、予定していた衛星大気プロダクトや大気モデル以外の試みを行うことになり、大気補正アルゴリズムの試験を行うためのソフトウェア購入および開発費について変更する必要が生じたためである。そのため、次年度は他衛星データの大気補正済地表面反射率との相互検証のためのソフトウェア開発および購入に充てる予定である。
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