2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K12289
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
秦野 賢一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (20282410)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 植物活力剤 / 食品廃棄物 / 廃糖蜜 / メラノイジン / ファイトレメディエーション / 褐変物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
大日本明治精糖株式会社から提供されたサトウキビ由来の廃糖蜜を用いて、MLPは合成吸着樹脂Amberlite XAD-7HPを充填したカラムで従来法により分離・回収した。 群馬県の主要農産物であるコマツナとキャベツの栽培は、群馬県沼田市下川田町の奥利根自然菜園株式会社から提供された実験用圃場で実施した。圃場には、事前に有機肥料としてサージンEX(24 kg/アール)と苦土ミネラル(24 kg/アール)をすき込んでおいた。MLP添加条件は、MLP無添加(w/o)、60 mgのMLPを含む水溶液を各植物体に添加(MLP60)、MLP180 mgを含む水溶液を添加(MLP180)した3条件を準備した。栽培期間の長いキャベツに関しては、MLPをシリカキセロゲルに封入した形態で各植物体に添加した。害虫対策として防虫ネットを用いて、無農薬・有機肥料施肥条件下で栽培した。4月下旬の播種から40日後にコマツナの収穫を、二ヶ月後にキャベツの収穫を行なった。収穫したコマツナとキャベツの生重量を測定した。一番外側から2枚の葉を除いた外側の2枚の葉を採取して、その組織液を用いて各種生化学的指標の測定をおこなった。 生化学的指標としては、正常な代謝が行なわれているかを判断するためにpH、アミノ酸やタンパク質の合成に使用されて植物の成長を促す硝酸イオン濃度、エネルギー源として用いられる糖度(Brix値)、窒素やリンそしてカリウムイオン等のミネラルの総量を示す電気伝導度、そして植物体のストレス度を表すスーパーオキシドディスムターゼ (SOD)活性を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各実験条件におけるコマツナとキャベツの各組織の生重量と生化学的指標を測定した。コマツナに関しては、MLP60とMLP180条件の生重量がw/o条件と比較してそれぞれ37%と40%の有意な増加が確認できた。特に根の重量では、50%の有意な増加が確認できた。一方でSOD活性では、MLP60とMLP180条件でw/o条件と比べてそれぞれ18%と23%の有意な減少が確認できた。これらの結果から、コマツナではMLP添加によって環境ストレスを軽減してコマツナの生長を促進している事が考えられた。導電率、糖度そして硝酸イオン濃度においては、これらの指標のMLP添加による有意な差が見られなかった。 キャベツに関しては、生重量はMLP60条件でw/o条件と比較して31%の有意な増加が確認できた。特に根の重量では、100%の有意な増加が確認できた。これはコマツナでの実験と同様に、土壌中のMLPが直接、根の成長に関与している事を裏付けている。一方SOD活性において、MLP180条件では逆にw/o条件と比較して有意な活性の増加が確認された。導電率ではMLP60条件でw/o条件と比べて有意に28%増加することが確認された。これはMLPがミネラルの取り込みを促進していると考えられる。糖度においては全ての条件間で有意な差がなかったが、全体としてw/o条件と比べると増加していた。また硝酸イオン濃度でも全ての条件間で有意な差がなかったが、糖度と同様にMLP添加条件においてw/o条件と比べて高かった。これは、MLPによって根の生長が促進されて、タンパク質の原料としての硝酸イオンの取り込み量が増大したと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的なキャベツの糖度は4-5%であるが、本報告書でのキャベツの糖度はw/o条件で6.7%、MLPを添加した条件では7.1-7.7%であり、一般平均と比べてもかなり糖度が高い事が分かる。これは、キャベツを無農薬かつ有機肥料を用いて栽培を行なったために、農薬等のストレスが無く代謝が活性化されて糖の生産や貯蔵が促進されたためだと考えられる。今後も、本年度のスタイルを引き継いでおこなっていく予定である。 本年度はキャベツの栽培に実際にMLP含有シリカキセロゲルを使用した。MLP含有量を変化させたゲル検量写真データと圃場から回収されたゲル写真を比較した結果、MLP60とMLP180条件で回収されたゲルはどちらも10-15%のMLPが残存していると判断できた。このことから、栽培期間を通して85-90%にあたる量のMLPが土壌へと放出されてキャベツの生長促進に関与したと考えられる。このようにMLP含有キセロゲルは十分に機能したと考えられるが、その作成には手間と時間がかかるため今後、その作成方法の簡略化に着手する。 MLPの添加によって植物のストレス度であるSOD活性は、コマツナでは減少してキャベツでは増加するといった結果となり、本課題の申請書に示した学術的問いの確認はできなかった。来年度は、本問いに対して定性的な回答が得られるように、実験計画を立てていく予定である。これまではアブラナ属の葉野菜についての研究を行なってきたが、来年度はエダマメなどの果菜においてもMLPがストレス軽減効果を発揮しているのか検証していきたい。
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Causes of Carryover |
各経費で節約を心がけた事が理由だが、一番大きかったのが主要設備備品であるマイクロ冷却遠心機の購入の際、キャンペーン企画を利用して大幅な値引きを勝ち得た事である。
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Research Products
(2 results)