2021 Fiscal Year Research-status Report
コアシェル型微粒子の創製機構と構造制御による物質高選択的吸着能の発現
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21K12317
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉岡 弥生 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (00359407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永廣 卓哉 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (70806778)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子無機複合微粒子 / コアシェル型 / 構造制御 / 吸着能 |
Outline of Annual Research Achievements |
使用環境に応答し特定の機能を発揮するインテリジェント微粒子は、吸着担体、徐放担体や医療用検査薬などへの応用が期待できる。このような微粒子の開発においては、コアシェル型複合微粒子も多く用いられており、異なる構造や特性を有するコア部とシェル層の協同作用により、多様な機能を発現している。 本研究では、シランカップリング剤処理などを行わず、多孔質シリカ微粒子に芳香族ポリアミドを直接被覆することによって、コアシェル型高分子-無機複合微粒子を作製することができた。芳香族ポリアミドとしては、用いるモノマーの組み合わせによって、直鎖型タイプ、架橋型タイプ、官能基を有するタイプや官能基を有しないタイプなど、多様な化学構造を有するものを作製することができた。さらに、本作製方法は、申請者が新たに見出した方法であり、作製条件によって得られる複合微粒子の構造や特性をある程度制御することができた。また、各種分析手法を組み合わせることで、これら複合微粒子の構造や特性のほか、被覆状態や被覆量なども明らかとなった。一方、複合微粒子の形成機構や高分子-無機材料間の界面状態を解明するため、シランカップリング剤を用いた複合微粒子も作製し、本反応系で得られた複合微粒子との比較検討も行った。 さらに、電荷などが異なる各種色素に対するこれら複合微粒子の分離能評価を行うことで、特定の色素に対して高い吸着能を有する複合微粒子を創出できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学構造および特性の異なる芳香族ポリアミドを被覆した複数の複合微粒子の合成に成功した。また、作製条件を詳細に検討することで、再現性よく複合微粒子が作製できることも分かった。これらの結果より、複合微粒子の構造や被覆量などについて、定性的考察のほか、一定の定量的考察も今後可能であると思われる。 また、各種色素に対する吸着能評価を行うことで、特定の色素に対して高い吸着能を有する複合微粒子を創出することができたほか、高い分離選択性も有していることが明らかとなった。 このようなことから、今年度の研究進捗状況は、本研究の初年度計画に対して順調に進展していると言え、次年度に十分に繋げることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
複合微粒子の作製における再現性をさらに向上させ、複合微粒子の構造や特性を詳細に検討する。また、複合微粒子の合成ファクターや高分子-無機材料間の界面状態に関する検討を行い、高分子層の形成や高分子-無機材料間の複合に関するメカニズム解明に取り組む。 色素に対する吸着能評価においては、吸着条件を詳細に検討し、吸着に及ぼす因子や特異性を明らかにする。さらに、金属イオンに対する吸着能評価も行い、吸着可能な金属イオンを調査する。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナによる感染予防のため、参加した学会や講演会はすべてオンライン開催になり、当初申請していた旅費分が次年度に繰越になった。 繰越分も含め、次年度は当初の申請どおり、試薬、実験用器具、分析用消耗品、成果発表代、旅費等で使用予定である。
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