2023 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の女性とナショナリズム:メディアによる奥村五百子像の拡散過程に着目して
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21K12519
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
山本 彩乃 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10897820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジェンダー / ナショナリズム / メディア / 植民地主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は新型コロナの規制緩和やコロナの5類への移行があったが、インバウンドの拡大や円安に伴う国内旅行の需要の高まりから、調査地への移動や宿泊がかなり困難になった。また極度の円安により、海外での調査活動が著しく困難になり、本年度では可能な範囲での調査活動を行うこととなった。非常に厳しい状況下ではあったものの、インターネットでの資料調査、古書市等での資料収集に勤しみ、奥村五百子や奥村五百子に関連する資料収集に励んだ。このような地道な調査活動により、従来の研究では垣間見ることができなかった貴重な資料の発見があり一定の成果があった。また、オンラインで海外の研究者による講演会を開き(2024年2月3日「帝国のブローカー阿部充家と朝鮮統治」李炯植(イ・ヒョンシク/高麗大学校 亜細亜問題研究院 教授)による講演会を開いた。この研究発表の大まかな内容は、阿部充家が植民地期に朝鮮で発行されていた「京城日報」という主に在朝日本人向けの新聞社の社長に就任したことにより、阿部が現地の人々と日本人の有力者を繋ぐ、ブローカー的な役割を果たしたという内容の講演会であった。本研究の課題である奥村五百子表象をメディアから読み解く上において、「京城日報」は非常に重要である。奥村五百子の存在は在朝日本人の中では象徴的な存在であり、内地とはまた違った形で日本人の中では大きな存在であった。植民地朝鮮において奥村五百子が日本人の間でどのように語られていたのかということを分析する上においても、「京城日報」のことについて知ることが重要であるため、このようなオンライン講演会を行った。また韓国の研究者との交流を通じて、日本よりも在朝日本人研究が盛んな韓国の現状を知ることで、日本から見ることができない、複雑に入り組んだ植民地朝鮮と日本人について新たな知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの規制が緩和されたことによる、インバウンド需要の高まりや国内旅行の広がりにより、調査地への移動や宿泊施設の予約が大変困難であった。日々高騰し続ける宿泊費は個人の力では贖えないものがあった。宿泊費の異常な高騰により調査活動が困難な状況下に置かれている。また過去まれに見る円安により、調査が難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
インバウンド需要の拡大や円安に伴う国内旅行の需要の高まりによる、ホテル代の高騰や予約が困難になっていることから、国内調査が困難になってきている。近年の過去まれに見る円安により海外での調査活動の難航が予想されるが、これらの状況が改善する見込みが全くないため、本年度は打開策を講じることで積極的な調査活動を行うこととする。秋には韓国ソウル大学との合同の研究大会に協賛として参加することが既に予定されているので、一定の成果が期待できる。本年度では現在まで行った調査ならびに、ソウル大学との研究大会での発表を通して得た研究成果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
コロナの規制が緩和されたことや、かつてない円安により現在の日本では、国内外の人々による日本旅行ブームが起きている。この状況により、調査地に行くための交通機関や宿泊の予約が困難になってしまった。また日々高騰し続ける国内の宿泊費は科研費の上限を遥かに超え、自費での負担を余儀なくされることから、当初の計画通りの調査活動が思うようにいかなくなってしまった。海外調査においても、円安により自己資金が以前に比べ乏しくなり、調査が思うようにいかないといった状況下に置かれてしまった。だが、本年度からは円安の出口がやや見えてきたことや、円安に備えた自己資金の調達が可能になったことから、昨年度では不可能であった海外調査が可能になった。また国内調査においても、困難な状況が好転するきざしが全く見られないことから、各種割引制度を多用することで困難な状況を打開し、本年度では当初の予定通りの調査を行うこととする。
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