2021 Fiscal Year Research-status Report
データ科学技術の活用による古代比較文学を通した日中文化定位の研究
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21K12582
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉村 誠 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (70141116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛 崎偉 山口大学, 教育学部, 教授 (30263750)
中田 充 山口大学, 教育学部, 教授 (60304466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中国古典文学 / 日本古典文学 / 日中比較文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の吉村は、中国古典文学の『文選』『藝文類聚』と『懐風藻』『万葉集』の電子テキストを比較分析用に整理し、また古典テキストの比較の先行研究を中国論文データベースなどで収集した。その結果、自然景物を詩歌にする伝統的な雪月花に主題をしぼり、それぞれの観念や表現性を比較し、その特徴を捉えた。 具体的には、花は梅を対象としたものが一番多く、いずれも「白」という色の共通性がある。しかし日本において「月」光を白色とするのは平安朝になってからであり、上代にはない。「月」は夜の明かりに主体性があり、白色に見ると言う概念はまだ育っていなかったと見られるという結論に達している。 また研究分担者の葛は比較のための理論を考案し、同じく分担者の中田はそれをもとにしたデータベースのプログラムを考案、吉村の作成したデータを用いて試行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吉村は具体的なテーマを雪月花の詩歌にしぼったが、まだ多くの対象物が残されている。また比較プログラムも具体的なテーマにのみ有効であり、汎用性を持たない。 中国への文献調査旅行が出来ない現在では、先行研究の確認が十分ではなく、次年度以降の状況に応じて対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
比較プログラムをおおむね完成させ、日中古典テキストの全てのデータを比較分析する。自然詠以外のテーマ、恋愛や人事、行事などを対象とした事物についての比較を行い、文化の相違点を中心に考えて行く。
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Causes of Carryover |
調査旅費(中国、東京)を計上していたが、コロナ禍のためにまったく実施出来ず、計上分が残額となった。 文献調査は必須であるので、実施出来るかどうかは未知数であるが、次年度に計上する。
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