2021 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative Analysis of the Propagation and Transition of Traditional Children's Songs
Project/Area Number |
21K12587
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河瀬 彰宏 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (80739186)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | わらべ歌 / 旋律 / アクセント / あそび歌 / 音楽情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,伝統的なわらべ歌の特徴を定量的に解明し,現代の歌謡との比較から音楽の伝播・変容を実証的に捉えるための新たな視座を構築することである.そして,わらべ歌の旋律と歌詞に対して計量分析を実施することで,旋律的特徴(音組織)と語彙的特徴(語彙体系)を地域別に抽出し,地理情報システムを用いて地域間の相違を可視化することで,地域的特徴を明らかにする.この目的を達成するために,初年度は,わらべ歌の旋律と歌詞のXMLデータ化作業を進めた. 具体的には,「日本民謡に関して現状もっとも信頼できる資料」と評される『日本民謡大観』と双璧をなす『日本わらべ歌全集』を用いて,掲載楽曲のうち,遊びに関する種目である,遊びのはじめに関する歌,手まり歌, 羽根つき・お手玉歌,手遊び歌,鬼遊び歌,縄とび歌,外遊び歌に区分・収録された約4,000曲の楽曲データの整備を行った.また,この楽曲データと,過去に作成した日本歌謡曲・J-POPのデータを用いて試験的な分析を実施し,旋律と歌詞の対応関係を把握するための解析環境を構築した. 今年度は,第7回メディア宗教研究会,現代民俗学研究例会,第20期研究会第3研究,春の研究集会,The 11th Conference of the IASC-ARS The Asian Regional Section of the International Association for Statistical Computing,言語処理学会第28回年次大会において,民謡,わらべ歌,日本歌謡曲・J- POPのXMLデータを使用した比較分析事例の進捗について報告した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度(初年度)は,分析基盤の整備として『日本わらべ歌全集』の全楽曲 (全 39 巻・9,800 曲) のうち,前半部分を MusicXML および MEI に電子データ化することを計画していた.この作業のうち,予定どおり全掲載楽曲のうち,半分に相当するデータ整備が完了している.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,『日本わらべ歌全集』の後半部分の電子データ化と位置情報の付与を実施する.また,歌詞の電子データ化を開始する.地域・令制国ごとに音組織を抽出し,生起確率情報付きのリストとして記述する.そして,歌詞の電子データ化を完了させ,地域・令制国ごとに語彙体系を抽出し,形態論情報付きのシソーラスとして記述する.
|
Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況としては,(1)当初予定していた研究会がオンライン開催に変更されたことによる出張費が発生しなかったこと,(2)分析データ整備のための謝金を他機関の研究助成から支出できたためである.しかし,当初研究課題を申請した際に予定していたデータの2次チェック,3次チェックのために,次年度以降に適用することを検討している.
|
Research Products
(5 results)