2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の視覚探索プロセスの解明:VR空間における色情報の操作による検討
Project/Area Number |
21K12608
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 敬子 香川大学, 創造工学部, 准教授 (30647889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝本 裕則 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (10413874)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚探索 / 中心視 / 周辺視 / 高齢者 / 色知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,実世界における高齢者の視覚探索プロセスを,頭部搭載型ディスプレイを利用したバーチャルリアリティ(VR)空間において,視線拘束的に視覚情報を操作する実験によって明らかにすることである.具体的には,VR空間でのシーン画像呈示と,視線拘束的移動窓パラダイム(注視領域とそれ以外の領域で視覚情報を操作する技法)によりアプローチする. 初年度は,シーン画像を用いた探索実験の計画と視線拘束的移動窓パラダイムの実装を主として進め,若年者を対象に実験を行い検証した.シーン画像として,視覚的注意の計算モデル等に使用される画像データセットから,屋内及び屋外画像を各50枚の計100枚を用いた.この画像内の物体をターゲットとして設定し,ターゲットを探索する際に,色情報(輝度及び色味)が探索を促進あるいは抑制するのかを調べることにした.まず,中心視野(視野角半径5°と定義)と周辺視野の色情報を視線に応じてリアルタイムで操作する実験プログラムをpython及びprocessingを用いて実装した.次に,実験1として若年者10名に対して実験を実施した.色情報は人間の色知覚システムに基づき,赤-緑軸及び黄-青軸の2条件として反応時間と視線データを計測した.その結果,視野領域に関わらず,黄-青条件の反応時間がフルカラー条件より長くなった.また,黄-青条件において周辺視野のみの呈示では反応を促進させ,中心視野のみの呈示では抑制する傾向が見られた.一方で,実験刺激に関する問題点として,色情報を制限するために用いた色空間の変換行列が,3つのチャネル成分を正確に分離できていなかった.この問題点を改良し実験2を行った.その結果,実験1と同様に視野領域に関わらず,黄-青条件の反応時間がフルカラー条件より長くなったが,周辺視野のみに黄-青色手がかりを呈示する条件で反応が促進される傾向は見られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進めることができたと考える.1年目は,シーン画像を用いた探索実験の計画と実験プログラム作成を予定していた.現実場面を措定したシーン画像の選定及び,刺激画像の作成,視線追従移動パラダイムの実装は計画通りに実施された.さらに,実験プログラムの検証として若年者を対象に2回の実験を実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,視覚情報の呈示手法として360度全天球カメラを用いてヘッドマウントディスプレイへの拡張を行う.さらに,初年度に実施したプログラムを用いて高齢者への実験を進めていく.これにより,実世界を想定した探索において,視野上の色てがかりによって高齢者の視線がどのように誘導されるのかを若年者と比較しながら調査する.同時に,視線拘束的移動窓パラダイムのプログラムについて,呈示時間遅れがないように精度を高めるよう改良を行う.
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Causes of Carryover |
打ち合わせ旅費,学会参加旅費として計上予定であった費用がオンライン実施等により使用しなかったため.残額はR4年度に現地学会参加費・旅費,視覚刺激を撮影するカメラの購入に充てる.
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Research Products
(5 results)