2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of regional scattere correction method using only deep learning and reconstruction images of nuclear medicine
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21K12629
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
菊池 明泰 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (10736375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 直史 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (90782475)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 局所散乱線補正法 / 深層学習 / 核医学画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心臓核医学画像で使用されるテクネチウムに焦点を絞り、CT画像を用いることなく心外集積からの散乱線を深層学習と実測・仮想模擬心臓モデルにて予測し断面画像から補正することで、心筋画像の画質を向上させることであるが、そのためには、散乱線の発生源である心外集積を以下に正確に抽出するかが重要である。そこで、2021年度はその抽出精度を向上させるための基盤研究として、体の横断面画像をもとに、心筋を抽出するシステムの開発を実施した。 具体的には、我々が開発したU-NETを用いた肝臓や腸管などの心外集積の抽出システムを完成させその成果を論文化した(A myocardial extraction method using deep learning for 99mTc myocardial perfusion SPECT images: A basic study to reduce the effects of extra-myocardial activity)。この論文は今後我々が、進める研究の基盤となる論文である。これは、核医学画像特有の画像のサイズや画質などを考慮したものとなっており、他の部位(特に心外集積など)への応用も可能であるため、心臓の断面画像を教師データとして、新たに作り学習させることで局所の散乱補正技術の基礎にすることが可能となる。 今後は、核医学画像内の心臓や心外集積の位置を同定し、さらにどの程度の散乱線が放出されているかを、CT画像を用いたシミュレーションにより予測することで、画像の補正値を決定し、置き換えて局所の補正技術が構築可能であると考えている。その際、実測ともにシミュレーション画像とを比較することで、より臨床に近い画像処理を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画では、初年度に深層学習による画像抽出(2021年度)、2年目に 位置情報と放射能強度から心筋へ散乱線による影響の同定(2022年度)さらに、臨床応用のための局所散乱補正の応用と検証(2023年度)を予定している。2021年度は、本研究の基盤となる画像抽出のうち、心筋の抽出システムの開発に成功しており、論文化もできている。このシステムのノウハウを生かすことで、放射能濃度による散乱性の影響を予測するための他の臓器の抽出も可能になり、さらに濃度の違いについては、得られるデータの分布状況を相対的に判断することで、推定し散乱線の発生についても推測することができる。断面情報を3次元的に加味することで、難解なシミュレーションをしなくても散乱線の影響を推定し、画像に加味することができるため、開発の時間の短縮にもつながると考えている。 上記を考慮すると、本研究の進捗状況はおおむね順調に進んでいるといえる。なお、今後2年間において、時間を要する内容としては、臨床画像への応用と診断能の検証がある。特に、臨床画像については、収集機器による画像の違いを考慮し汎用性を持たせるためには、複数の施設からの臨床データが必要であり、その収集に時間を要することが推測される。 2021年度については、自作の模型ファントムなどを基に進めているが、今後は早い段階で臨床画像による散乱線の強度と画像への影響を検討したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方法について、まずは心筋以外の領域抽出モデルの構築を進める予定である。具体的には、濃度のことなる心外集積モデルを作成し、核医学画像収集機器にてデータ収集を行う。2021年度は開発のためのデータ収集として、心臓の模型に大きさの異なる病変を装着し、臨床に即した撮影条件を基に、散乱線の発生量についても検討するため、様々な濃度の放射性物質(テクネチウム)を模擬心筋に封入しデータ収集を行った。 今度は、肝臓などの部位に異なる濃度のテクネチウムを封入し、散乱線の強度を実測して画像への影響を測定する。測定法としては、画像再構成後の断面についてプロファイルカーブと呼ばれる、グラフによる数値分布図を作成し、条件の違いによる分布図の違いから散乱線の強度を局所ごと算出する。その値を3次元的に作成し、もとの画像に落としこむことで、補正画像の生成を最終的に行う。そのためには、微小な画像の抽出が必要となり、その精度が補正システムの精度も左右することになる。 これらを踏まえ、心外集積の抽出精度をさらに向上させるため、画像サイズをより小さくする処理を行い、教師データとすることを想定している。核医学画像はもともと空間分解能が劣るため、その部分を補うことで局所の補正精度向上を図る予定である。一般的には、散乱線の影響で値が1.2倍から1.5倍程度高く測定されるため、3次元的に補正することで、局所の散乱補正精度向上を図るとともに、画質向上も図りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度、自作模型作成について、材料費や加工費などが想定よりも少額だったため、少額で実施することができた。さらに、学会参加や研究打ち合わせが新型コロナの影響でできなったため、予算額より少ない金額となった。ただし、次年度以降は、画像抽出向上のため模擬病変を作成する予定のため、請求額が増えることが想定されている。 なお、模型の設計については、既に計画しており期限内に進める事は可能である。
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