2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the respiratory system for improvement of sleep-wake state classification
Project/Area Number |
21K12811
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
辛島 彰洋 東北工業大学, 工学部, 准教授 (40374988)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 睡眠 / 睡眠-覚醒ステージ判定 / 簡易睡眠モニタリング / 呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠の質が下がると認知機能や免疫機能などさまざまな身体機能が低下することから、日常的に睡眠ステージを把握することは重要と考えられている。睡眠ステージ判定で一般的に利用される脳波・筋電図と比較して、呼吸は簡便に測定できることから、呼吸信号を睡眠ステージ判定に利用する試みが過去に報告されている。しかしながら、睡眠時の呼吸ダイナミクスの個人差は大きく、睡眠ステージ判定の精度が高くないことから、呼吸情報を判定に利用した方法は普及していない。本研究では、呼吸ダイナミクスに個人差が生じる原因を特定し、個人差を低減する手法を確立することを目指す。 2022年度には12人の被験者を対象にして夜間睡眠時の呼吸測定・ポリグラフ測定を実施した。呼吸測定には、我々のグループで開発した測定手法(地磁気センサと永久磁石を組み合わせた機器を腹部に装着して呼吸努力を測定)を利用し、ポリグラフ測定には市販の簡易脳波計を用いた。この実験は被験者の自宅で行った。寝室環境が睡眠に与える影響を調べるために、被験者の寝室環境(室温、湿度、二酸化炭素濃度)も測定した。 国際10-20法のC3・C4の脳波測定や気流測定を行うために、本学内にある脳波測定室での睡眠実験も2022年度に実施した。この実験は11人の被験者を対象とし、日中昼寝時に脳波と呼吸を記録した。 上記の2つの実験は個人差に注目したものであるが、個人内の日間変動にも我々は注目している。日間変動を調べるために、同一被験者(4名)から4日間の測定を行って、4日間のデータを比較した。 上記の3つの実験で得られたデータの分析も行った。ポリグラフデータに関しては、視察判定によって覚醒、ノンレム睡眠stage1~3、レム睡眠の5状態に分類した。また、呼吸データに関しては、自己相関法により周期成分を抽出し呼吸周期のダイナミクスを求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では夜間睡眠時の呼吸・ポリグラフ測定に関しては20人の被験者からデータを取得する計画をたてていたが、これまでに半数以上である12人から取得した。また、専用の脳波室で実施した昼寝時の測定も20人の被験者を対象とする計画であったが、約半数の11人の測定が終わっている状況である。個人内の日間変動に注目した測定は12人の被験者からそれぞれ8日間の測定を行う計画をたてており、これまで4人の被験者から4日分のデータを取得したという状況である。 残りの実験を2024年6月までに終わらせられるよう計画的に進めている。なお、これまでの実験で得られたデータを利用して睡眠-覚醒ステージに依存した呼吸ダイナミクスの変化を調べており、その解析結果を今年度実施される日本睡眠学会等で報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも述べたように、研究を始める際に計画した実験のうち約約半分の実験を行ってきた。2024年6月頃までに残りの全ての測定を終えられるよう今年度は計画的に実験を行っていく。そして、視察判定により得られた睡眠-覚醒ステージと呼吸ダイナミクスとの関係を詳細に調べ、学会発表や論文投稿を積極的に行う計画である。さらに、寝室環境が睡眠-覚醒ステージや呼吸リズムに与える影響についても調べる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、国際学会に参加できなかったり、国内学会がオンラインで開催されたりしたことにより、計画段階より旅費の支出が大幅に減ったため次年度使用額が生じた。次年度使用額については、実験で使用する消耗品(電極等)の購入、実験に協力していただく被験者に支払う謝金、データの整理や解析補助として本研究に協力している大学院生への謝金として使用させていただく。
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Research Products
(7 results)