2022 Fiscal Year Research-status Report
前2千年紀ヒッタイト王国時代アナトリアにおける冥界観と王権との関係性の解明
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21K12848
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 孟 山口大学, 教育学部, 講師 (90793381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒッタイト / アナトリア / 冥界 / 死生観 / 魂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「ヒッタイト王国の人々がどのような冥界観を抱き、王の霊魂はどこへ行き、現世にどのような影響を与える存在と考えられていたのか」を考察する。本研究は、前2千年紀ヒッタイト王国の人々が信じた冥界と王権の関係性を理解し、ヒッタイト独自の冥界観を明らかにすることを目的としている。そして、その成果を周辺のエジプト・メソポタミア・聖書世界とも比較し、ヒッタイトを軸に古代東地中海世界における冥界観の共通点と差異を理解することを目指している。本研究では、三段階の研究を実施する。はじめに、文献調査として神話文書等をもとに、ヒッタイト文書に表される冥界観を理解する(研究1)。次に、「死」にかんするヒッタイト語表現の分析を行い、そこに現れる死生観を明確にする(研究2)。また、トルコで遺跡調査を行い、宗教建築遺構・霊廟で行われる祭儀の方法・目的を考察する(研究3)。 2022年度は、研究2・3を開始した。ヒッタイトの神話・儀礼文書における、人間や神々の「魂」を意味する言葉を用いた表現を整理し、死後に肉体を離れて死者の世界へ至る「魂」のイメージを明らかにし、死の捉え方について考察した。この成果の一部は、西南アジア研究にて発表した(山本 孟「「魂」の冥界への転移ーヒッタイトにおける冥界観についてー」)。また、水辺と冥界の関係についての研究を行い、2022年9月に、研究協力者らと同志社大学一神教学際研究センターで「CISMORリサーチフェロー研究会:古代中近東における「冥界」」にて報告し、意見交換を行なった。研究会全体の成果は、山本 孟(編)『CISMORリサーチフェロー研究会プロシーディング:古代中近東における「冥界」』として論文集にまとめた(自らの発表内容は、第1章 山本 孟「ヒッタイト王国の宗教における水辺ー水辺にかんする研究動向と沼地についての考察ー」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいる。ただし、研究2については、さらにヒッタイト文書における、死の表現や冥界の神々に着目したアプローチが必要であると考えている。これにかんする神話・儀礼文書および王碑文等の史料読解を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、これまでの研究成果をまとめ、トルコで開催される第11回ヒッタイト学会で発表する。なお、同時にトルコでは研究3の調査にあたり、2023度も遺跡の踏査および現地での発掘隊の参加を予定している。
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Causes of Carryover |
アウトリーチのために研究成果をまとめた動画編集・作成の完成が遅れたため、次年度に請求している。
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Research Products
(5 results)