2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K12928
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
野村 亞住 玉川大学, 文学部, 講師 (30710561)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 俳諧 / 式目 / 貞徳受容 / 季吟 / 元隣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、後世への影響が強い北村季吟の著作物における「貞徳」説と松永貞徳『俳諧御傘』(慶安四)との検証を通して、貞徳受容の実態を探ることで、芭蕉をはじめとした後の俳諧師たちへの影響関係を探ることを目的として、式目作法書や季寄せなどの俳書や歌学書などの著作物と実際の俳諧での運用の実態との両面から調査することで、近世前期における「ことば」が「俳諧」の中で、実作・著作物を介してどのように変容していくのかを見るものである。 研究年度二年目にあたる2022年度は、一年目にひきつづき、『俳諧御傘』のデータ化とともに、季吟の俳書である『増山の井』の貞徳説の抽出、および季吟と師弟関係にあった山岡元隣の『誹諧小式』にも注目し、「貞徳」説が引かれる箇所の抽出と検証を行った。 具体的には、実際に「貞徳云」や「貞徳説」「貞徳言」などとと明記される箇所を中心に抽出し分析項目に加えてのデータベースの作成を実施した。このほか、明言されないものの他の書には見られなかったり、異説であったりするものの『俳諧御傘』や『天水抄』などとの類似点の見られる項目についての抽出にも注力した。なお、貞徳からの踏襲とみられる類似点を見出だすための分析観点の割り出しについては、引用句や細かな単語や言い回しなどを含め慎重に行っている。元隣の『誹諧小式』での抽出に関しては、季吟の言説とされたり、明言されないものの季吟から踏襲されていると見られる内容について、上記と同様に検証すべく慎重に抽出している。また、引用句の出典の検証資料を追加することで、研究環境の充実を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究年度二年目にあたる2022年度は、研究拠点が変わったことで、進捗状況にやや遅れが生じたものの、各種データを増補し、分析項目を慎重に検討しつつ抽出できていることから、研究はおおむね順調に進展している。一年目にひきつづき、季吟の俳書との検証からその弟子世代の俳書への検証に入り分析項目の慎重さが重要になるため、こうした検証に関しては次年度に引き続いて行うものとする。
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Strategy for Future Research Activity |
研究年度三年目にあたる2023年度には、前年度にひきつづき俳書との検証を行うとともに、当初の予定である申請者の持つ俳諧データベースを用いての、実際の運用調査を行うものとする。
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Causes of Carryover |
研究拠点の移動にともない、予算執行が可能となった時期に大幅に遅れがあったこと、執行可能期間が短かったことにより、分析・考証用の資料の選定や入手に遅れが生じた。また、依然としてコロナ禍が続く状況にあるため、出張に制限があって調査に出られなかった。次年度に引き続きおこなう分析・考証において必要となる資料の入手として支出し、研究の充実を図るものとする。
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