2021 Fiscal Year Research-status Report
Phonological implications across Turkic languages
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21K12980
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅沼 健太郎 金沢大学, 歴史言語文化学系, 助教 (00775835)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | チュルク諸語 / 規則 / 含意関係 / キルギス語 / カザフ語 / カラチャイ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではトルコ語などが属し、中央アジアを中心にユーラシアに広く分布するチュルク諸語を対象とする。チュルク諸語に属する各言語に働く音韻規則は互いに類似しているが、同時に相違点もみられる。本研究ではそういった音韻規則間の異同の中にみられる含意関係を明らかにする。そしてそれを通して、チュルク諸語内における通言語的特徴を明らかにすることを目的としている。この目的を踏まえ、本年度は特にキルギス語とカザフ語とカラチャイ語の調査を行った。その結果以下の4つの具体的成果をあげることができた。1. キルギス語では従来 /rl/ を /rd/ にする規則があるとされていたが、その詳細な実態は明らかではなかった。今回の調査を通して、その規則は確かに存在するが、義務的なものではなく随意的なものであること、かつその規則が複数形接尾辞 /-lAr/ には適用されないことが明らかになった。2.一部のキルギス語の先行研究では /yl/ を /yd/ にする規則があると読み取れる記述があったが、調査を通して、少なくとも標準的なキルギス語ではそのような規則は存在しないことを明らかにした。 3.キルギス語とカザフ語を対象とし、それぞれで /l/ および /n/ に働く規則を整理し、両言語の異同を明らかにした。4. 音韻規則に関するものではない副次的な成果であるが、トルコ共和国内で話されているカラチャイ語の種々の文法的特徴に関する詳細を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響により現地調査はできていないものの、オンライン調査や新聞データの整理などを通して十分な調査を行うことができているため。また、研究実績の概要に述べた具体的成果を学会や研究会で合計4件発表し、また論文も4本執筆することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はチュルク諸語の中でも北西語群を主に対象としたため、2022年度はサハ語などの北東語群も視野に入れた研究を行う予定である(対象とするトピックは2021年度に引き続き子音や母音などに関わるものとする)。また、2022~2023年度の間に北東語群の成果も含めた形で論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスが2021年度中には収束せず、予定していた調査出張をキャンセルし、オンラインでの調査や新聞記事の整理を通してのデータ収集に注力したため。次年度においては新型コロナウィルスの収束状況に応じて、今年度キャンセルした調査や出張、あるいは追加の新聞等のデータ収集に充てる予定である。
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