2021 Fiscal Year Research-status Report
漢語方言の統一調査に基づく疑問詞疑問機能の普遍的関連性の探究
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21K13007
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野田 寛達 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (10737373)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漢語方言 / 疑問詞 / 意味地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず多くの方言資料を収集し、分析と整理を行なった。その過程で、事前の想定以上に方言資料の内容に統一性がないこと、多くの資料で記述の精緻度が不十分であることがわかった。疑問詞の記述量に関して統計をとり、それぞれの資料で少ないもので、1%未満、多いもので約7%とかなりの幅があることは問題である。また、これまで方言文法調査のために出版されたいくつかの著作も分析し、精緻度・網羅性ともに不十分であるという結論に達した。これにより本研究の目的の1つである文法項目に関する調査項目表の作成が急務であることが確認できた。 また、現代漢語に関する文法書に関しても上記2点の面で同様に課題が存在することがわかった。例えば、疑問詞の機能を規定する際に用いる名称が異なっていたり、明らかに違いのある機能に同様の名称を用いたりということがある。また、文法書によって扱っている機能が異なり、1冊で現代漢語の疑問詞の機能を網羅した著作は存在しないことも明らかになった。方言資料はこのような現代漢語の文法書を基準として作成していると考えられるため、その影響は大きい。そのため今年度は現代漢語の疑問詞の機能の整理に取り組み始めた。そしてその第一歩として、従来扱われることの少なかった疑問詞"zenme”の形容詞修飾に関して分析した。”zenme"は従来動詞修飾ばかり注目され、形容詞修飾は不可能とするものや反語になるのみとする研究が多く見られ、実際の使用状況に基づいた分析はあまり行われてこなかった。本研究ではコーパスを用いて例文を詳細に分析し、その成果を「zenmeの形容詞修飾に関する一分析」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
方言資料以外に現代漢語資料にも多くの問題が存在することが明らかになったため、方言資料だけでなく現代漢語の分析にも着手し始めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現代漢語文法における疑問詞の記述内容の整理を行うのと同時に、さらに多くの資料を収集・整理し、疑問詞の疑問用法に関して漢語方言調査項目表を完成させる。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により国外への学会の参加や調査が行えなかったため使用額が減った。今年度は資料の購入などに多く用いる予定であるが、状況の応じて国外での学会参加や調査も行いたい。
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