2022 Fiscal Year Research-status Report
漢語方言の統一調査に基づく疑問詞疑問機能の普遍的関連性の探究
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21K13007
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野田 寛達 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (10737373)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 言語類型論 / 疑問詞 / 漢語方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、漢語方言疑問詞の統一調査目録の作成を目標として研究を行なっている。今年度から、昨年度に課題として浮上した現代漢語における疑問詞の機能体系の不完全性に関して、特定の疑問詞を対象に再構築を行うことにした。 具体的には、疑問詞の"zenme“と”zenmeyang“を対象として、朱徳煕1982《語法講義》や呂淑湘1999[1980]など代表的な現代漢語文法の文法書や様々な方言の文法研究書を参考にしつつ、コーパス調査も合わせてその用法の全容を明らかにした。代表的な著作であってもその記述内容に違いがあることから、複数の文法書を参照する手法は網羅性の点から有効であった。コーパス調査を組み合わせることで、文法書では窺い知ることのできない大きな文脈の中での具体的な用法を知ることができた。そして、漢語方言の文法書を参考にしたことで普通話には存在しない用法も加えることができた。結果として、これまでにない細かい用法体系を構築することができたと考えている。研究結果は以下の論文を発表した。
野田寛達(2023)「漢語方言の疑問詞を対象とした言語類型論研究の方法論と"zenme”、”zenmeyang“の用法体系の構築」『明治大学人文科学研究所紀要』第90冊
一方で、分析を行う過程で、想定したよりも方言中の「原因」を問う用法の形式に多様性が見られることがわかった。普通話では"zenme"や“weishenme”の2種類の表記が中心であるのに対し、例えば、広州語などでは事物を尋ねる“shenme”相当の疑問詞が単独で原因を聞いたり、安慶語のように“shenme shi”の語彙化したものが原因を尋ねる用法で用いられたりもする。網羅性を追求するためにはこのような多様性に関しても研究を進める必要があり、次年度の課題の1つとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析途中で、言語調査の雛形となる従来の現代漢語の体系に予想以上の不完全性が見られたため、自身での再構築を行う必要が出てきた。そのため、現在、方言調査の前段階となる現代漢語の体系の分析に注力している。
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Strategy for Future Research Activity |
現代漢語の体系と方言資料への分析を合わせて進め、言語調査の雛形となる疑問詞の調査項目一覧表の作成を行う。作成が完了次第、個別の方言に関して調査を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会がzoom形式になるなど、旅行費用が大幅に浮いたため。今年度は使用する予定。
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Research Products
(1 results)