2023 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical research on inchoative expressions from syntactic and semantic perspectives in terms of collocation
Project/Area Number |
21K13029
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
藏薗 和也 松山大学, 経済学部, 准教授 (10805302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 相動詞 / 起動動詞 / 動詞の補部研究 / コロケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、起動動詞の補部を考察し、コーパスに基づく量的調査によってどのような語句が高い頻度で動詞の補部で用いられるかを示すとともに、それらの語句の意味特徴を質的に調査することで、起動動詞の補部において、どのような語句が、なぜ生起しやすいのかを明らかにすることを目指した。起動動詞と呼ばれる意味の類似した動詞を複数扱い、例えば、start + 名詞句は、他動性の強さが補部で用いられる名詞句の性質に大きな影響を与えていることを明らかにした。また、get + 形容詞句は、getの語彙的意味が影響して、再帰代名詞を補部にとる動詞がもととなる過去分詞がよく用いられることを明らかにした。 前年度までの研究でも、起動動詞resume +名詞句の形式と一緒に用いられる共起語の考察および起動動詞come, grow + 形容詞句の形式における共起語の考察を行い、各動詞の補部において特定の語が選択される理由について明らかにしてきた。 特定の動詞の補部に高頻度で生起する語、いわゆるコロケーションの調査は、学習辞書や文法書などでも近年よく見られるが、本研究はネイティブスピーカーの直観に基づく説明を含めた従来の説明を参照しつつ、コーパスに基づくデータ収集といった実証的な手法を用いることで、動詞の補部で用いられる語句の選択に影響を与える一つの要因が、動詞の持つ個別的な性質、つまり各起動動詞の持つ独自の意味特性にあることを明らかにした。本研究期間全体を通して、Francis et al. (1996)や八木(1999)などで蓄積されてきた意味と統語との関係性に関する研究に寄与すべく、その成果を口頭発表ならびに論文の形で公刊した。
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