2022 Fiscal Year Research-status Report
日本語の名詞句の語順と単数・複数の解釈に関する理論的・実証的第二言語習得研究
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21K13070
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大熊 富季子 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20765515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 部分構造 / 名詞句 / 日本語習得 / 英語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日英語の名詞句の語順と単数・複数の解釈の違いを考察し、日本語および英語を第二言語として学ぶ学習者が、どのようなプロセスを経て文の意味を正しく解釈できるようになるのかを明らかにすることである。2022年度に取り組んだ研究内容は以下の通りである。
(1)日英語の部分構造と呼ばれる構文の習得に関して、2021年度に日本語の母語話者と学習者について解釈実験を行い学会発表を行った。そこで2022年度はこの発表内容に追加実験も含めた結果をProceedingsにまとめ、2022年7月に出版した(Proceedings of the 46th Boston University Conference on Language Development)。 (2)部分構造同様に日英語で語順と文の解釈が異なることが指摘されている構文(否定と論理接続詞を含む文)についても、2021年度に引き続き研究を進めた。具体的には、2021年度とは異なる手法(真偽値判断タスク)で実験を行い、2021年度の結果および先行研究の結果と比較し考察をまとめ、2023年2月に出版した(立命館経営学第61巻第5号)。 (3)本研究を進める上で欠かせない第二言語習得研究の最新の動向を把握するため、書籍『The Language of the English Street Sign』(Multilingual Matters, 2022)を読んで、その内容を書評にまとめた。この書評は2023年12月に出版される日本第二言語習得学会誌『Second Language Vol.22』に掲載される予定である(原稿受領済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、日英語の名詞句の意味論・統語論・第二言語習得研究の結果の整理・一般化と実験を進め、その結果をまとめてProceedingsと紀要に出版することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
部分構造の習得に関しては、2022年度に引き続き意味論・統語論・第二言語習得研究の文献を更に読み進める。特に第二言語習得研究については、名詞の習得に関わる文献を幅広く調べ、最新の研究動向を把握すると同時に、本研究の結果が直接検証に貢献できるような仮説を探す。またこれまでに行った予備実験を更に改善し、習得のプロセスを解明できるように試行錯誤する。
否定と論理接続詞を含む文の習得についても、2022年度に引き続き研究を進める。具体的には、実験規模を拡大すると共に、選言接続詞以外の接続詞の習得も調べることにより、研究範囲を広める。
以上の調査項目以外にも、研究を進めていく中で新たな課題が見つかった場合には、それについても随時検討を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会発表用の渡航費用と国内学会参加用の旅費を計上していたが、2022年度はオンラインでも同時開催になったため、旅費が不要となった。2023年度は国際学会も対面開催される見込みであるので、当該助成金は2023年度の旅費の一部として使用する予定である。
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