2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13102
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
前田 勇樹 沖縄県立芸術大学, 芸術文化研究所, 研究員 (00867731)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 沖縄近代史 / 新聞 / 明治 / 感染症 / 尚家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、明治10~20年代の琉球沖縄に関する新聞記事の全体像を把握すること、当時の新聞記事の中から沖縄社会と関わりの深いトピック(①感染症流行と沖縄社会、②旧琉球国王家尚家を中心とした在京琉球人の動向)について分析を行うことの2点である。この時期は沖縄近代史の中でも特に史資料が少なく、新たな史料群と成りうる価値を有している。しかし、沖縄最初の新聞である『琉球新報』が発刊される以前の琉球沖縄に関する新聞記事はほとんど手つかずの状況であり、基礎的な収集・整理作業が急務である。 令和3年度には、主に『郵便報知新聞』の収集と整理に注力した。新型コロナウイルス感染流行の影響により沖縄県外での調査が制限されたため、主にILLで沖縄県外から資料を取り寄せ、調査を進めた。雇用した資料調査補助者の助力を得る形で、1879年~1893年までの記事を具に調査し、琉球沖縄関連記事を網羅的に収集した。収集した記事は、現在整理作業を進めている。 成果発表については、まず琉球沖縄歴史学会2021年度シンポジウム(2021年9月18日)において「明治沖縄の感染症対策をめぐって―せめぎ合う「旧慣」と「同化」」と題する報告を行った。また、設定したトピックに関連する論文1本(前田勇樹「明治後期の沖縄における感染症流行と衛生」『島嶼地域科学』2 (0), 41-61, 2021年7月)とコラム1本(前田勇樹「もっと知りたい近代沖縄 明治期沖縄における感染症流行とその対策」沖縄県教育委員会「琉球王国交流史・近代沖縄史料デジタルアーカイブ」)を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『郵便報知新聞』に掲載された琉球沖縄関連記事の収集は概ね完了した。資料調査補助者の作業効率も徐々に上がっており、今後収集ペースは上がってくるものと思われる。また、「尚家文書」(那覇市歴史博物館所蔵)をはじめ関連する史料の収集も順調に進んでおり、その成果の一部は学会報告や論文投稿に反映されており、おおむね順調に進展していると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては、『横浜毎日新聞』『東京日日新聞』に掲載された琉球沖縄関連記事の収集(1872~1893年)と目録の作成を行う。前年度同様にILLとオンライン版を中心とした作業を予定しているが、可能であれば沖縄県外での調査も予定している。 また、近代の旧琉球国王家尚家について中城御殿(沖縄尚家邸)関連の資料を重点的に調査し、東京―沖縄間のヒト、モノ、情報の流れについて研究を行う。この成果は年度内に学会報告や論文等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により沖縄県外での調査が差し控えざるを得ない状況であり、予定していた出張に一度も行くことができなかった。前年度から繰り越した金額については、次年度の出張回数増やすことで対応する予定である。
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Research Products
(2 results)