2023 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末~20世紀初頭ドイツ帝国海軍におけるコマンド・テクノロジーの実態の解明
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21K13129
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
前田 充洋 大谷大学, 文学部, 講師 (90804609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 工科大学 / ドイツ帝国海軍 / 帝立造船所 / 品質試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてドイツ海軍が艦艇建造の素材の質を保持するために実施したとされる、コマンド・テクノロジーという施策の実態を解明することにあった。2023年度はドイツ連邦共和国の連邦軍事文書館(於フライブルク)にて史料調査を実施した。そこで帝国海軍局Reichsmarineamtの建設部門による品質試験記録史料群である『鉄と鋼を用いた試験Versuch mit Stahl und Eisen』を確認し、これに悉皆調査を実施した。そしてこの調査をつうじて、素材品質試験をめぐって帝国海軍局と工科大学がいかなる関係にあったのか、その解明を試みた。 しかし両者の関係は限定的であることが同史料の内容から判明した。工科大学が素材品質試験に本格的に関与したのは20世紀転換以降であり、かつ工科大学が関与した試験は企業の素材サンプルを帝立造船所が試験し、それに合格したものについてより精密な試験を実施するというより高次の段階のものであった。むしろダンツィヒ、キール、ヴィルヘルムスハーフェンといったドイツ帝国内の3港湾都市に置かれていた帝立造船所が、ドイツ帝国創建からヴィルヘルム二世治世下にかけての海軍のコマンド・テクノロジーにおいては通時的に重要な位置を占めていたことが浮かび上がってきた。これらの造船所は企業からの試験の申請、工科大学へのサンプル転送、帝国海軍局への決議委任のための窓口を担い、品質試験をコラボレートする機関として機能していた。 この成果を2023年11月23日に開催された日本クラウゼヴィッツ学会定例会で報告した(報告題目「ドイツ帝国海軍の拡張と工科大学の限定的な関与 ――『鉄と鋼を用いた試験』と『供給者リスト』から――」)。 さらに、所属大学の紀要(『大谷大学研究年報』)より原稿執筆の依頼がきており、この報告内容をもとにして寄稿する予定である。
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Research Products
(2 results)