2022 Fiscal Year Research-status Report
中国における蓮華文瓦当の系譜とその拡散-三次元計測による製作技術の解析を中心に-
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21K13134
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
呂 梦 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 博士研究員 (90894288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蓮華文瓦当 / 製作技術 / 南北朝隋唐時代 / 東アジア文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主に、日本と朝鮮半島の瓦資料に対する調査を行い、また、前年度に行われた中国北方地区の資料調査の成果を論文にまとめた。 分析によって、中国北朝隋唐時代には、瓦当の製作技術が木笵技術から子母笵技術へ変化し、統一の文様を持つ、高品質な瓦の大量生産ができようになった。しかし、唐代晩期に入った後、蓮華文瓦当の文様の類型が増え、作りが粗雑になり、集中化生産に対応する子母笵技術が徐々に消えた。その原因は、安史の乱以降に生じた官営手工業の衰退にあると考えている。北朝系瓦当の様式・技術の流れに対する認識は、今後の研究の基盤となるものである。 成果公表につきまして、現在、日本語論文「瓦からみた雲岡石窟窟頂西区寺院の造営工程」が日本中国考古学会の機関誌『中国考古学』に掲載された。また、二つの中国語論文、「北朝隋唐瓦当制作技術的変革-従木范到子母范」、「試論北朝制瓦手工業生産模式的発展」が、中国考古学のコアジャーナルである『文物』、『考古与文物』に採択され、掲載が決定された。 調査につきまして、2022年8月には、奈良文化財研究所考古第三研究室へ赴き、平城宮第一次大極殿の瓦当を整理した。また、2022年12月、2023年2月には、二回に分けて、帝塚山大学附属博物館所蔵の朝鮮半島の瓦に対する資料調査を行った。2022年度に行われた朝鮮半島瓦当調査は、高句麗の遺跡から出土した瓦当に集中した。これらの瓦当の様式・製作技術に関する情報を収集し、朝鮮半島・日本の蓮華文瓦当データベースを作り始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度には、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、中国各地における移動制限措置が実施されているため、中国南方地区の瓦に対する現地調査ができなかった。2023年度の研究内容を前倒しにして、日本の古代瓦、さらに、日本の大学・博物館所蔵の朝鮮半島の瓦に対する調査を実施した。 朝鮮半島の瓦に対する資料調査がまだ完成されていないため、全体的に見れば、本研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、まず、建康と揚州、広州の三つの中国南部の都城遺跡に赴き、南京大学などの研究機関所蔵の蓮華文瓦当に対する型式分類と三次元計測を実施する予定である。その後、前年度の研究成果である北朝系瓦当の様式・技術の流れを参照しながら中国における蓮華文瓦当の生産使用状況とその背後にある社会的変遷を検討する。 また、帝塚山大学附属博物館に所蔵されている朝鮮半島の瓦の資料調査を完成させる予定である。前年度には、朝鮮半島・高句麗の瓦当を整理した。これからは百済と新羅の瓦当に対する調査を実施することで、瓦当の様式と技術に関する情報を収集し、朝鮮半島の蓮華文瓦当データベースを補充する。 最後、中国蓮華文瓦当の系譜を基軸として日中瓦生産の関連性をより俯瞰的に捉え、南朝系瓦当が主体の古代日本において、子母笵技術を特徴とする北朝系要素を抽出することで、蓮華文瓦当の日本での受容過程の全体像を解明する。
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Causes of Carryover |
2022年度には、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、中国各地における移動制限措置が実施されているため、中国南方地区の瓦に対する現地調査ができなかった。それが原因で、次年度使用額が生じた。 現在、新型コロナウイルス感染症が収束し、中国調査ができるようになった。2023年度には、中国南部の都城遺跡に赴き、南京大学などの研究機関所蔵の蓮華文瓦当に対する型式分類と三次元計測を実施する予定である。具体的には、2023年8月には、長江下流域に位置する南京市(建康城)と揚州市(揚州城)に赴き、南朝から唐までの南方地区の中心地に使われた瓦当を調査する。また、2024年2月或いは3月には、珠江流域に位置する広州市(南越国宮署)に赴き、辺境地に発見された南朝系瓦当の情報も収集する予定である。
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Research Products
(6 results)