2022 Fiscal Year Research-status Report
The channel migration of the Yodo River in the Kawachi Lowland Plain based on the analysis of geological data from the archaeological sites and the historical aerial photographs.
Project/Area Number |
21K13137
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
別所 秀高 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (00827256)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 淀川 / 河内平野 / 沖積層基盤地形 / 完新世最高海水準期 / 考古遺跡 / 柱状図断面 / ボーリングデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、淀川氾濫原を含む河内平野全域、ならびに淀川河口平野のとくに沖積層基盤地形(約3万年前)および完新世高海水準期(約6.2千年前)の海域の広がりについての研究を進めた。 沖積層基盤地形については「関西圏地盤情報データベース」、および国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」の7360本のボーリングデータから作成した柱状図断面に現れた層相変化、ボーリングデータに記載されたN値やAT火山灰層を手がかりに沖積層下限高度を読み取った。この沖積層下限高度とボーリング位置座標をGIS上で内挿補間し、沖積層基盤地形を復元した。復元された沖積層基盤地形には最終氷期最寒冷期直前の古淀川河谷や古長瀬川河谷、古西除川河谷とともに基盤ブロックの沈降部(生駒山麓西麓域)に形成された湿原が現れた。 また、既知/新規の考古遺跡の地層データと考古遺物年代資料および放射性炭素年代にもとづき、堆積環境の復元およびその変遷過程を検討した。さらにその検討結果をボーリングデータから作成した柱状図断面と突き合わせ、発掘調査で明らかになっている完新世最高海水準期の鬼虎川遺跡の海岸地形の特徴や復元された当時の潮差を参考に、ボーリングデータベースから作成した柱状図断面で波食棚や海食台とみなせる平坦面、あるいは緩傾斜面を抽出し、完新世最高海水準期の海域を復元した。その海域は伊丹台地、千里丘陵、富田台地、枚方丘陵の前縁、生駒山地の西麓、上町台地の周縁に沿って広がり、淀川三川合流点付近にも到達していたと考えられる。 なお、本研究成果は査読付き学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドワークならびにボーリングデータを使用した柱状図断面の作成、地形分類図の作成、資料収集を実施した。 フィールドワークとしては、昨年度に現地測量を実施した淀川河口域埋没浜堤の比較検討のため、紀ノ川河口域に分布する浜堤および砂丘を踏査した。また、微地形の観察のため淀川上流域の伏見区淀周辺、三川合流地点淀周辺、淀川右岸低地の枚方市付近で現地調査した。 昨年度に引き続き、「関西圏地盤情報データベース」、および国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」のボーリングデータから、河内平野を覆うように縦横断する測線を設定し26枚の柱状図断面を作成した。 地形分類図は淀川河口域に引き続き、中・上流部域までのものを作成した。 大阪市文化財協会にて市域の発掘調査報告の閲覧許可を得、とくに淀川河口域埋没浜堤に近接する地点の報告書資料、地層断面写真、地層データを収集した。また、大阪市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市、島本町、守口市、門真市、寝屋川市、枚方市、大山崎町域の研究対象となる調査報告書および関連文献を収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
考古遺跡の地層データの収集および地形分類図のアップデートを実施する。 考古遺跡の地層データについては淀川河口域埋没浜堤周辺のみの資料収集を終えたところである。引き続き、淀川河口部および中上流部の地層データ収集に努め、調査地点のGoogleearthへの入力作業を実施し、同時に堆積環境の変化過程を考慮した柱状図の作成を進める。また、これら研究対象地域で年代測定資料を得られた場合はこれを委託の上で実施する。 いっぽう、本年度に作成した淀川低地の地形分類図は大部分は地形図や空中写真から判読したものであり、細部のアップデートが必要となる。このため、淀川低地でのフィールドワークを実施し、微地形の観察を重ねる。 これまでに得られた成果および今後得られるであろう成果や課題については、学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた遠地でのフィールド調査が新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言および同まん延防止等重点措置により実施できず、さらに学会がオンラインに切り替わったことから旅費に未使用が生じた。このため本年度にその費用を繰り越したが、本年度も遠地でのフィールド調査や学会発表機会を逸したため未使用が生じた。また、本年度は人件費はデータ入力を補助するアルバイト学生に充てる予定であったが、作業環境が整わず自らが入力作業を行ったため未使用が生じた。 次年度は過去2年間で実施できなかった遠地でのフィールド調査の機会を増やし、また、研究協力者を含めて学会発表等で発表を実施することとし、未執行であった予算をこれらに充当させる。
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