2021 Fiscal Year Research-status Report
Decolonizing Museum: A Critical Analysis of Dialogic Communication in the US Ethnological Museums
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21K13148
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
小森 真樹 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (70808873)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミュージアム / 美術館 / 博物館 / 記念碑 / パブリック・ヒストリー / 植民地主義 / コミュニケーション / 万国博覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
博物館とはいかにすれば健全な対話の場として機能するのか。本研究は、アメリカ合衆国の民族学博物館における「脱植民地化運動」を事例に、文化人類学・歴史学・博物館研究を横断することでこの問いに答える。植民地主義に由来する博物館やコレクションを「人種」の観点から再編成することを目指すこの運動に関する言説を対象として、「対話」の構造に着目して博物館のコミュニケーションがいかに成立するのかを考察する。従来の博物館の対話分析は文化人類学理論の影響下、少数派の意見を救い、異なる意見の対話を設計する方法に重点をおいて展開してきた。博物館研究も概ねそれらを肯定的に評価してきたが、本研究ではこうした対話法自体の批判的再考を試みる。
初年度である本年度は各国のコロナ対応状況を計りながら研究計画の調整を行った。パンデミック下での渡航制限に鑑み、調査地や研究対象の候補を拡大しつつ、渡航条件が比較的整った地域で実地調査を実施した。ハワイ州ではビショップ・ミュージアム及び関連施設を訪れ、諸島先住民の歴史やハワイの軍事拠点化などと博物館の関係について調査を実施した。他方で、2020年のジョージ・フロイド殺害事件以降拡大した反人種主義・反植民地主義運動に関わる言説やコミュニケーションに関する調査も並行して進めた。とくに歴史の語り・対話において博物館や記念碑が果たす役割について調査した。研究結果は、本課題開始以前のものも含めて論文や書籍として公開を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和三年度の研究では、パンデミック下での渡航制限などの困難も生じたが、遂行計画を調整し、研究内容を軌道修正したことで成果を上げることができた。以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和四年度は、引き続き各国のコロナ対応状況を検討しながら、柔軟な計画で研究を進めていく予定である。状況が許せば海外渡航を含めた現地での文献収集及びフィールドワークを計画する。
研究結果は、引き続き、学会報告・論文・書籍等の形で発表していく予定である。
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