2023 Fiscal Year Annual Research Report
High-technology diffusion process focusing on utilization: Case of automobile diffusion
Project/Area Number |
21K13155
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
本多 広樹 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (30844196)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 次世代自動車 / 充電インフラ / 普及 / アクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自動車の普及と活用を事例に,地域における先端技術の普及プロセスを解明することである.2023年度は,まず次世代自動車の普及に関わる充電インフラに着目した.充電インフラは一般の利用者に向けて開放されているインフラであり,分布をデータとして捉えることが可能である.そこで,2010年代の詳細なデータが入手できた埼玉県さいたま市について分析を行った.その結果,採用者の行動の分析を通して充電インフラの普及に関する時空間的な特徴が明らかになった.以上の内容は学術雑誌『季刊地理学』に掲載された.次に,移動に関する先端技術の普及と活用について,その先進事例の一つである長野県伊那市を事例に調査を行った.伊那市では,買い物や通院のような日常生活における住民の移動に着目し,行政をはじめとした各アクターが様々な支援策を行っている.これらは,施設へのアクセスを容易にする取組みと,先端技術の活用によって遠方から機能にアクセスできるようにする取組みに大別される.住民にとっては,施設へ移動する際の選択肢が多様化していると考えられる.その背景には,既に普及していた先端技術の新たな活用方法の考案もみられた.この内容は2023年日本地理学会秋季学術大会にて報告した. そして研究期間全体を通して得られた成果について,地域への先端技術の普及,活用プロセスと,それに伴う地域の変化の2点から整理した.本研究が着目した先端技術では,活用の背景となる地域課題を解決するために,地域全体をどのようにカバーするかが重要となる.その中で,多様なアクターが採用者となることは,相互補完的に地域全体をカバーすることに繋がっていた.また結果として,既存施設が新たな役割を持つ,施設やその機能にアクセスする選択肢が多様化するといった変化がみられた.
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