2022 Fiscal Year Research-status Report
19世紀後半ドイツ地方自治理論の研究――法的拘束力を持つ「本旨」解釈のために――
Project/Area Number |
21K13182
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横堀 あき 北海道大学, 法学研究科, 協力研究員 (80897570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公法学 / 地方自治 / プロイセン地方自治制度 / 法治国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本国憲法92条「地方自治の本旨」に法的な内容を読み込むべく、19世紀ドイツにおける地方自治理論の再検討を行うものである。具体的には、プロイセンにおいて地方自治制度が法治国家を志向したものであったところ、大日本帝国期においてかかる観点も参照されたのか、された場合に変容を被ったのか、などの点について検討するものである。 令和4年度は、(1)前年度に続き、特にローレンツ・フォン・シュタインの議論の検討と二次文献の収集を行った。シュタインの著書については、邦語の二次文献だけではなく、ドイツで公刊された二次文献の読解にも着手している。本年度は特に法治国家という観点から研究を進めた。検討の結果、シュタインの議論においては法治国家は議論の前提とはされているものの、グナイストとは異なり、あるべき国家として先ず以って目指すべきものとされているのではないということが判明した。また前年度「今後の研究の推進方策」に記したモッセについては、文献収集を行っている。 また、(2)検討課題の一つであるものの、従来取り組んでこなかった、日本の行政裁判所制度に関する調査に着手している。 上記課題は引き続き最終年度にも従事する予定である。 以上に加え、今年度は判例報告を1件行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論者ごとの議論の比較検討を行う前提となる作業に従事している状況であり、当初計画していた、日本の議論との連関を検討する研究段階にはない。以上のことから、「(3)やや遅れている。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特に当時の地方自治理論との関係におけるシュタインの議論の意義について明らかにする。また、日本の地方自治の議論において登場し、申請段階では十分に触れることができていなかったロエスレルといった論者の議論も踏まえたい。前年度から取り組んでいる博士論文の連載作業(19世紀・20世紀頃のドイツ地方自治理論)との関係も踏まえた上で、研究成果を速やかに公表したい。
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Causes of Carryover |
年度途中で異動することとなり、必要となっていた電子機器類を異動後に購入することとしたため。令和5年度に可及速やかに執行する。
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