2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13220
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小西 葉子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 助教 (00876708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 諜報機関の透明性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「基本的人権を保障しながら、自国を守るための情報を適切に収集する諜報機関の法的統制は、日本においてどのように実現されうるのか?」という学術的問いについて、諜報機関の憲法的統制に関する複数の国の法的議論の比較を基礎として研究するものである。 研究全体の意義は、現在諜報機関を根拠づける体系的法制度を持たない我が国において、いかなる法的統制が必要か(あるいは必要でないか)を明確化することで、諜報機関による基本的人権の侵害に対する個人の自由の防御を実質化することにある。 令和3(2021)年度は、各国における諜報機関法制を検討した。その成果の一部は、小西葉子「行政機関の透明性 ― 欧州各国の諜報機関法制を題材として ―」総合法政策研究会誌第5号(2022)48頁~65頁において公表済であるが、欧州全体の諜報機関法制を鳥瞰的にフォローした邦語文献は他に存在しないため、本研究は我が国の諜報機関法制に関する議論の更なる発展について重要である。特に同稿で明らかにしたによる統制手法の特徴の意義(国際原則の国内法秩序への組み込み、専門家集団による監督・統制)については、令和4(2022)年度以降の研究代表者の研究実施の指針となる。 また学際的な発展を企図して、国際政治学分野の研究者との人的交流を実施し(2021年10月)、実質的な運用としては国際政治における影響を多大に受ける諜報機関の実態を取り込んだ諜報機関法制研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鳥瞰的な制度比較についてはおおむね予定通り進んでいるが、特にイギリスのInvestigatory Powers Actに関する司法判断について、まだ十分な検討が進んでいない部分があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に基づき進め、特にイギリスのInvestigatory Powers Actに関する司法判断については早急に検討を試みる。なお外務省の渡航情報及び所属機関の新型コロナウイルス対策のため、2022年8月-9月に予定していたドイツ・イギリスへの渡航が困難である。新型コロナウイルスの状況に応じて、2023年2-3月に渡航時期をずらすことを検討している。
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Causes of Carryover |
洋書の取り寄せ・納品時期と所属機関内の会計処理の関係上、令和3年(2021)度に執行できなかった物品費の予算がある。必要な文献は特定されているため、令和4(2022)年度速やかに発注する。 なお「その他」は、文献を調査・講読するためのデータベースの契約による海外送金であり、物品費(書籍代)として計上していたものと実質的な用途は変わっていない。
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