2022 Fiscal Year Research-status Report
A Fundamental Study on the Diplomacy of Modern Korea
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21K13249
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
李 穂枝 東海大学, 文化社会学部, 講師 (20796362)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 朝鮮の外交 / 日清戦争 / 甲午改革 / 近代日韓関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日清戦争以降、清との宗属関係から公式的に解放された朝鮮が大韓帝国成立に至るまで、どのような外交を展開していったかを、日韓関係を中心に考察することで、朝鮮外交の特質の一端を明らかにしようとするものである。 日清戦争以降の外交がどのようなものだったかを理解するためには、日清戦争以前の時期との関連性を一層把握する必要があった。2022年度は2021年度よりさらに古い時期を中心に資料収集と精読を行った。具体的には第一に、日清戦争以降に活躍する外交担当者のなかにはアメリカに渡った人物や、対米外交の経験を持っている人物も少なくないため、アメリカに渡った外交使節団について資料調査を実施した。2022年10月14日から韓国ソウルで関連展示会が開かれたので、10月末には韓国に出張し、展示会を見学した。展示会や現地での調査を基に研究調査報告書を東海大学紀要に掲載した(「韓国国立古宮博物館の特別展示『笠子帽(カッ)を被りアメリカに渡った朝鮮外交官の物語』をみて」『東海大学紀要文化社会学部』第9号、2023年3月)。 第二に、日清戦争勃発から甲午改革期(1894~1895年)を重点的に研究することによって、本研究への新たな方向性が見えてきた。本研究を始めた際にはロシア要因を主な変数と考え、朝露関係・日露関係関連資料に注目し、研究してきた。だが、その前の状況を一層具体的に把握する必要があると考え、改めて日清戦争期・甲午改革期の資料を収集し、資料を読んでいくうちに、朝鮮と日本との当時の関連性をより詳細に考察する必要があることに気付いた。2023年度も同時期の資料収集及び研究を続け、その成果を学会で報告するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は予定していた韓国での資料調査を実施することができた。さらに、関連展示会にも足を運ぶことができ、2度の韓国出張から資料だけではなくアイディアも得たことは大きな成果と言える。一方で、研究を始める当初想定していた研究対象の時期より、少し前の時期まで遡って研究し直す必要性が生じたため、当初の予定より時間を要している。また、学内業務が多岐にわたっていることもあって、研究に割く時間も以前よりは減少していることも影響していることは否めない。 2023年度も海外研修プルグラムを任されており、授業の数や指導学生数も大幅に増えているが、丁寧に研究を続けたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度からは学会報告と論文執筆に取り組むつもりである。6月には朝鮮史研究会で報告をする予定である。以前東アジア近代史学会で報告した日露協定の時期よりもさらに前の時期まで遡って、まずは日清戦争勃発前後の日朝外交の展開を再検討し、朝鮮にとって同時期の外交の最大課題は何だったか、外交政策を展開していくなかで、朝鮮国内のどの勢力が諸外国勢力とどうかかわっていたかを明らかにする。朝鮮の様々な政治勢力は外交において如何なる目標を持ち、どのような外交路線を追求しようとしたかが、いまだに明確ではないように思われるからである。この諸勢力の政治競合と対外関係における行動戦略を明らかにすることで、同時期の朝鮮外交を立体的に把握できると考える。研究内容を学会で報告し、その内容を基に論文執筆に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
論文のネイティブチェック費用や、史料講読(崩し字)のために使おうとした費用がまだ発生していないため、人件費が残っていた。また、春休みに資料調査・収集のための出張を企画していたが、職場の業務関係上、実現できなかった。2023年度には夏休み中に出張を計画しており、論文執筆及び史料講読のため専門家の助言を必要としている分、出張費・人件費(謝礼)として使用するつもりである。
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