2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a policy database on Coronavirus Disease (COVID-19) and policy evaluation taking into account the heterogeneity
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21K13320
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
片渕 結矢 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (40883450)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土地利用 / 農地 / 農地取引 / 食の安全保障 / 農地売買 / 非医学的政策介入 / 不動産取引 / 異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都道府県別COVID-19政策の情報提供及び異質性を踏まえた政策評価を目的としている。具体的には、政策介入の程度に関するデータベースの構築とそれを活用した外出、経済、医療への政策介入効果の測定を行っている。2022年度には、緊急事態宣言とまん延防止重点措置に関するデータベースのメンテナンスを行い、都道府県レベルの地価と行動変容政策介入(リモートワーク)に関するパネルデータセットを構築した。これを用いて、マクロレベルでの行動変容政策介入が経済に与える影響を分析し、その成果をpreprint論文として公開し、査読付き国際誌に投稿中である。
さらに、複数回にわたる行動変容政策介入が人々の外出行動に与えた影響について理論的および実証的な検証を行い、その研究結果を査読付き国際誌に掲載した。また、COVID-19に関する行動変容を促した政策介入と地価との関連についてミクロデータを用いた分析を行い、学会発表を行うとともに査読付き国際誌に投稿中である。
2023年度には、農地取引に関する研究を行い、「Farmland Transaction under COVID-19-Related Non-Pharmaceutical Policy Intervention」と題した研究をThe 68th Annual Conference of The Australasian Agricultural and Resource Economics Societにて発表した。この研究では、都道府県レベルで異質的な非医学介入政策が農地価格と取引に与える影響を明らかにし、特に農地の取引価格に顕著な下降傾向があることを確認した。この結果は、COVID-19による非薬物介入が農地市場に及ぼす影響の理解を深め、農業経済だけでなく食の安全保障に関わる政策の策定に対しても重要な示唆を提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析に関しては、COVID-19に伴う行動変容が引き起こしたテレワーク状況変化が地価に与えた影響に関する分析を行い、査読付き国際誌に投稿中である。 一方で、新型コロナウイルス感染症の状況により、当初予定していた共著者との議論及び学会参加が不可能であった。 それによって、データベースのさらなる充実化およびその効果検証について遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画では、既に構築した政策介入程度に関するデータベースを活用し、都道府県レベルでの異質性を詳細に考慮した政策介入の効果評価を進めていく。このデータベースには、COVID-19に関する各種政策の実施状況を反映したものであり、これを用いて外出制限、経済活動の制約、医療介入の効果といった、異なる側面からの政策影響を分析する。分析は、横断面だけでなく時間を追って変化する縦断面のデータをも統合し、より精密な時系列分析を行う予定である。
この総合的なアプローチにより、地域によって異なる政策の効果や、それによる経済活動への影響、感染症の抑制成果を明らかにする。これには、多様なデータソースと先進的な統計手法を駆使して、より実証的な結果を導出する計画である。結果として得られる知見は、感染症対策と経済活動のバランスを取る上での政策立案に役立つものとなることが期待される。
これらの活動を通じて、最終的にはCOVID-19という前例のない危機に対する対応策として、効率的かつ効果的な政策の提言を行い、公衆衛生と経済の両立を目指す最適な政策選択に貢献することを目指す。この研究からの提言は、政策立案者、研究者、公衆衛生の専門家にとって、政策の効果を科学的に評価し、将来的なパンデミック対応策の策定に活用されることが期待される。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の状況により、当初予定していた共著者との議論及び学会参加が不可能であったため、当該次年度使用額が生じた。 次年度においては、共著者との議論および学会参加、英文校閲サービスを含めた論文投稿費での使用を計画している。
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Research Products
(1 results)