2021 Fiscal Year Research-status Report
行動ファイナンス的時点間意思決定モデルによる家計の金融行動の分析
Project/Area Number |
21K13326
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
重田 雄樹 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90793331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動ファイナンス理論 / 家計の金融行動 / NISA |
Outline of Annual Research Achievements |
令和三年度は、先行研究の調査と理論モデルの構築を行った。先行研究の調査においては、例えば各個人の労働賃金が独立に確率的に変動するような場合など、事後的な意味での異質性を持つ個人からなる経済を連続時間において意思決定を行う場合に拡張するモデルが存在することが分かった。当該のモデルにおいては、経済全体における各個人の投資額や貯金額などの分布を解析的な形式で表現することが可能であり、このモデルを本研究課題に応用することで、投資促進制度が経済全体にどのような影響をもたらしたかを分析することが可能になることが見込まれる。また、申請書にも記述している通り、連続時間における行動ファイナンス的な意思決定問題の理論分析にも取り組んだ。この理論分析においては、準双曲割引モデルと呼ばれる時間的非整合性を加味した消費と投資の意思決定問題を取り扱っており、必ずしも完全に合理的に行動できるとは限らない家計の金融行動を分析する上では非常に有用である。また、この理論分析で対象にしているモデルは連続時間におけるものであるため、前述の先行研究の調査において述べた事後的な異質性を伴う個人からなる経済モデルとも容易に接続することができるという利点がある。一方で、事後的な異質性を伴う個人からなる経済モデルの均衡の存在についても数理的な分析を進めている。この数理的な分析については、基本的なモデルについては一定程度の成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の調査は順調に進んでおり、理論モデルの検討も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和四年度以降は、令和三年度の実績で述べたモデルを使い、実際の経済に即した応用分析を行う。まず、行動ファイナンス的な理論モデルと事後的な異質性を伴う個人からなる経済モデルの接続を行い、投資促進制度がどのような帰結をもたらすのかについて、理論的な分析を行う。その後、実際の家計の金融行動や株式価格などのデータをもとに、実証的な分析を行う予定である。また、令和三年度の実績で述べた事後的な異質性を伴う個人からなる経済モデルの均衡の存在については、より精緻な分析と確認作業を行った上で論文として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
分析を行う上で購入したコンピュータ代金に端数が生じたため。次年度使用額は英文校正等の費用に充てる予定である。
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