2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K13349
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
菅田 浩一郎 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (00755910)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 中小企業の国際化と自立化 / 企業城下町的産業集積地 / 産業材ものづくり / 国際化度合と自立化度合 / 長期固定的取引関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、従来下請と呼ばれた企業城下町的産業集積地における中小企業の自立化をテコとした国際化を説明する点が理論的貢献となる。その際、「自立化」を支える技術的蓄積が中核企業との長期固定的な取引関係の中でいかにして蓄積されたかという歴史的経緯や、現在における中小企業の価格決定権確保につながる技術開発上の工夫、顧客多角化のための営業・マーケティング上の努力等について分析する。また「国際化」については国際化の進展段階やパフォーマンス、国際化向上の要因である経営者の認識・能力について定量的に分析する。これを通して企業城下町の中小企業は国際化を進めるために、いかなる事柄に努力を傾注してきたのか、中核企業が果たした役割は何か、転入企業はどのようなモデルケースを示すか、これを問うことを目的とする。 当初計画において2023年度は国内調査と並行してコロナ収束を前提として海外拠点を有する日立地域中小企業の現地拠点を訪問し、現地責任者へのインタビューを行う予定であったが、円高を踏まえ、2023年度は現地訪問を見送り、海外に拠点を有する企業あるいは海外輸出を進める茨城県県北県央中小企業各社に対してヒヤリング訪問を行い、ベトナムにおいて鋳造生産する企業、航空・宇宙関連事業を手掛ける企業、動滴定装置分測定装置の設計・製造を行う企業、ドイツにマーケティング拠点を有する超精密切削加工技術の企業等を訪問し、技術的なイノベーションとマーケティング活動の国際化、海外直接投資について見識を深め、研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2023年度は海外に出張し、海外現地に生産拠点や販売拠点を有し、国際事業展開をする日立地域の生産材製造中小企業の実態を調査する予定であったが、円高の進行のため困難となったものの、そもそも日立地域内においても、1社でも多く訪問し、技術的な自立化やそれをテコとした国際化、国内外のマーケティング活動の展開についてヒヤリングをすることも重要であるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施できなかった海外での実地調査(日立地域中小企業の海外拠点実地訪問とインタビュー)を実施したい。また引き続き日立地域中小企業の自立化とそれをテコとした国際化に向けた各社の工夫や方策をヒヤリングする。2024年度はこれまでの研究で判明した「追従型国際化企業」が日立地域において存在しないという点について、さらに研究を進め、研究成果を研究論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は1274円と大きくなく、2024年度においては物品購入費(文献図書等)の購入によってただちに費消される。
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