2023 Fiscal Year Research-status Report
オペレーショナルレベルの文化とその自律分散的な戦略機能に関する実証研究
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21K13357
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
陳 燕双 同志社大学, 商学部, 助教 (70844075)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オペレーションレベルの仕事文化 / パーパス主導型経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、組織の諸慣行やマネジメントの仕組みと業務遂行における文化がどのように関連しているのかを分析しながら、パーパス・マネジメント(目的主導型経営)の動向にも注目した。研究対象をオペレーションレベルの文化からパーパス(企業の存在意義)経営へと拡大した理由は、現場で具現化されるオペレーションレベルの仕事文化が、企業の根底にある存在意義に深く影響されるからである。 企業の存在意義や経営理念、仕事に対する考え方、企業文化といったソフトな要素が、従業員の内発的モチベーション、エンゲージメント、そして組織の効率性、パフォーマンス、活力に正の関連性があることは、従来の研究により明らかにされている。しかし、実際の経営において、多くの場合、パーパスや理念、文化に対するマネジメントは経営実践において具現化されずに困難を極めている。パーパス経営もトップダウンの経営理念や「パーパス」の構築の取り組みにとどまり、それらを実質化し、深いところから支える組織メンバーの心情や思考回路まで深化し、仕事の文化まで浸透させる例は極めて例外的である。 パーパス主導型経営は、2019年のビジネスラウンドテーブルを機に広く注目されるようになったが、この概念自体は新しいものではない。パーパス研究ストリームの一つとして、株主だけでなくすべてのステークホルダーの利益を重視するステークホルダー資本主義への転換があるが、自社の存在意義を大切にしながらビジネス活動を展開し、すべての利害関係者から愛される企業に対する研究は,多いとは言えないが存在している。 今年度は、パーパス主導型経営とは何か、パーパスの実質化がなぜ困難を伴うのか、そして真正のパーパスを業務レベルまで実質化するとはどういうことなのか、さらにはパーパスと企業の長期的な財務業績との間にどのような正の関連があるのか、その説明ロジックについての研究成果を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会情勢による研究計画の余儀ない変更や研究者本人の就職活動等の人生イベントによって、当初の計画通りの成果を出すことができなかったが、本年度は文献研究や事例研究を中心に、パーパス経営まで広げて研究を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
過去3年間の研究成果をアウトプットすべく、これまで行ってきた研究の論文執筆や学会報告を精力的に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
パーパス経営に関する欧米の研究蓄積が豊富であるため、関連する洋書の購入が必要である。また、成果を発表するために、必要な旅費も計画に含まれている。
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