2021 Fiscal Year Research-status Report
Disaster Risk Communication in Japanese TV Broadcasters: Starting from the Perspective of Polymedia
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21K13450
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Research Institution | The Graduate School of Information & Communication |
Principal Investigator |
橋本 純次 社会情報大学院大学, 広報・情報研究科, 専任講師 (90842857)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リスク・コミュニケーション / マスメディア / 放送 / ポリメディア / COVID-19 / 新型コロナウイルス / 情報社会 / 信頼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2021年度に「ポリメディアやそれに類する議論がどのように蓄積されていたか」というテーマについて学会発表1回、論文1篇を発表することを計画しており、研究代表者は年度当初よりこれを目的としてポリメディアとリスク・コミュニケーションに関する文献調査を開始した。他方、COVID-19をめぐる状況が長期化し、それに相対するマスメディア企業の実情を早期に把握する必要がみられたことから、2022年度以降の実施を想定していた「これまでに発生した不確実性の高い災害に関するリスク・コミュニケーションに取り組むうえで、テレビ局が直面してきた課題はいかなるものか」という内容の一部を前倒しし、テレビ局や新聞社へのインタビュー調査を上記の内容と並行して実施した。 以上の調査研究により得られたデータに基づき、2021年度には1回の国内学会発表(2021年度 社会情報学会(SSI)学会大会)と1回の国際学会発表(AMIC 28th annual conference)を実施するとともに、書籍(『コロナ禍の地方再生/創生~官民の英知を結集した未来づくりへの提言』/仮称・未刊行)への寄稿を行った。また、研究の過程においていくつかの主体から本研究の内容に関する講演や寄稿の依頼を受け、市民や産業界向けに研究成果を発表する機会を得た。具体的には、日本医学ジャーナリスト協会 西日本支部の実施したシンポジウムの基調講演とパネリスト(2021年10月17日に熊本日日新聞で報道)、業界メディアである「民放online」への寄稿のほか、2件の市民向けセミナー(社会構想大学院大学公開セミナー、新東京勉強会)に登壇した。 なお、当初想定していた「ポリメディア概念に関する議論の整理」は、調査の過程において本内容を単独で論文化することは困難であると判断し、2022年度に実施するオーディエンス調査のなかに入れ込むこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、本研究はCOVID-19をめぐる状況の推移を踏まえて当初の研究計画をやや前倒しして実施しており、そのため情報の送り手側の実情を早期に把握しつつ、初年度の段階で調査対象のひとつであるテレビ局とのリレーションをある程度構築することができた。このことは2022年度以降の研究を円滑に遂行する一助となるものと考える。こうした送り手調査については、2021年度に実施した国内外での研究発表により得られた外部の意見や視点を採り入れながら、着実に研究を進めていきたい。 他方、当初2021年度内の研究発表を想定していた「ポリメディア概念に関する議論の整理」については、ポリメディアを論ずる国内外の論文を整理し、リスク・コミュニケーションに関する議論のなかに位置づける作業を実施してきたところ、研究の過程において単独での論文化が困難であることが判明したことと、口頭発表を予定していた学会(社会情報学会 東北支部研究会)が予告なく実施されなかったことから、現状直接的な研究発表には至っていない。しかしながら、既に文献調査が終了していること、その内容に基づくオーディエンス研究を2022年度に実施することに鑑みて、2021年度に実施した調査研究の内容を含んだ研究成果を2022年度内に発表できる可能性は高いといえる。また、初年度に市民向けセミナーを実施し、市民によるCOVID-19関連報道の読み解き方に触れることができたことは、研究代表者の実施するオーディエンス研究の質を担保すると考えられる。 以上の理由から、本研究は当初の研究計画に比しておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2022年度に「テレビ局による情報発信総体がメディア利用者において現代社会のメディア環境のなかでどのように意味づけられているか」を明らかにするため、オーディエンス研究を実施する。具体的には、理論的飽和への到達を目的として対象者数が前後する可能性はあるものの1,000名規模のアンケート調査および20名程度へのインデプスインタビュー調査を計画している。この点については、インデプスインタビュー調査を対面で実施すべきか(することが可能か)という問題がある。研究代表者の経験上、関係性を構築できていない対象へのオンラインでのインタビュー調査は十分な成果が得られないことが多いため、この点については可能な限り実施を後ろ倒しするなど、COVID-19の感染状況を確認しながら実施方法を検討したい。 また、既に一部を前倒しして実施しているテレビ局(ケーブルテレビ事業者を含む)に対するアンケート調査・ヒアリング調査についても継続的に実施していく。この点については特段の課題はないものと考えている。
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Remarks |
ほか、市民団体を対象とした講演1件 「科学技術とリスクのコミュニケーションデザイン:情報社会と新型コロナウイルス関連報道から考える」, 新東京勉強会(日本記者クラブ)
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Research Products
(6 results)