Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,特養介護職員が,最期を迎えた入居者へのEOLケア実践に着目し,帰納的に分析し,特養におけるEOLケア理論生成をめざしている. 2021年度における研究実績は,以下のとおり,3つある.第1に,特養介護職員が,最期を迎えた入居者,特に要介護度ⅣとⅤへのEOLケア実践における尺度に関して精査したことである.全国の特養介護職員らのアンケート調査回答から,EOLケア50項目を用いた因子分析を行い妥当性及び信頼性について言及し,所属学会で発表した. 第2に,質的分析に用いるデータを精査したことである.全国の特養介護職員へのアンケート調査は,既に終えている.これらの調査回答のうち,自由記述欄に記載されている文章を精読し,質的分析データとして是非を見極めたことである.大まかなデータ分類では,入居者との死別や臨終に直面した介護職員自身の「感情」を軸に、「経験」を意味づけていることが明らかになった.具体的には,入居者との死別や臨終に立ち会うことで,ポジティブな感情として捉えたグループは,遺された入居者へのケアに活かせる経験として位置づけていた.その一方で,入居者との死別や臨終に立ち会うことで,ネガティブな感情として捉えたグループは,ケア力不足や未熟さなど,自身を内観する経験として位置づけていた. 第3に,これまでの研究成果を,学術雑誌に投稿している.これら投稿論文の別刷りを,再印刷し,アンケート調査に協力先,全国の特養へ郵送し,研究成果について報告した. 2022年度は,データクリーニングした質的データを専門的ソフトを用いて、分析する予定である.また特養で最期を迎えた入居者の家族,及び介護職員へのインタビューから、EOL理論生成への示唆を見出す予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度における本研究のエフォートは,20%と設定していた.研究機関が変わり,新しく担当する科目の授業準備や,学内や学科内の委員会活動など,環境に適応するために時間を費やすことを優先した.そのため,夏季及び春季休暇期間に実習巡回指導する,一方で集中的に活動することに,注力していた.しかしながら,コロナ禍の影響で,実習生を受け入れることが困難,あるいは中止というケースが多発し,活動するための十分な時間を,確保することが難しかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度における課題推進は,質的データを帰納的に分析することにある.その一方で,分析結果を,所属する学会等で発表し,多くの研究者から意見等を集約し,EOL理論化をめざす. 他方,特養で最期を迎えた入居者の家族,及び介護職員へインタビューを試みることで,EOL理論への示唆を見出す. 上記の研究成果は,所属学会における発表,もしくは学術雑誌への投稿することで関連領域への社会貢献をもたらすと考えている.
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Causes of Carryover |
2022年度は,質的データを分析するにあたり、アンケート自由記述欄の文字をデータ化する必要がある.そのため専門業者へ外部委託する予定である.加えて分析ソフト購入,ハードディスク容量の増加など,分析するための準備に充てる. 質的データを分析後、所属学会での発表,あるいは学術雑誌へも投稿する予定であり、学会参加費などの旅費,投稿料金へも充てる. 特養で最期を迎えた入居者の家族,介護職員へのインタビューでは,オンラインではなく,対面の方法を優先するため,旅費や謝礼金,録音機などにも充てる.
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