Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,特養介護職員が,最期を迎えた入居者へのEOLケア実践に着目し,全国に所在する特養の介護職員を対象にアンケート調査を実施し,統計解析からEOLケア実践の因果関係について明らかにした.今回は,上記のアンケート調査回答から,自由記述に記された内容を,質的に分析することで,特養におけるEOL理論生成を目的にしている.これまで特養介護職員が,要介護度ⅣⅤ入居者に実施したEOLケアに焦点化し,統計解析により信頼性が高く,妥当性が示されたことで,EOLケア尺度の有用性を明らかにした. 2022年度は,上記のアンケート自由記述欄の内容について,データクリーニングした.具体的に,クリーニングしたデータは,全国の特養介護職員が回答した707件である.707件から自由記述欄に記載されていた163件に対してクリーニングを実施した.その後,多くの文献から知見を得て,詳細な分析方法に合わせたデータ入力が必要であることが判明した.そのため,アウトソーシングによるデータ入力には至っていない. 2023年度には,以下の3つを課題にあげる.第1に,執筆中の原著論文を完成し,研究成果として学術雑誌に投稿する.これには,養成課程おける実践的な教育が,学生の死生観形成を促すことが示唆されている.第2に,EOLケア理論生成の基礎を固める.データ入力の際に,詳細な分析に繋げる方法を,いくつか指定することで,理論生成のデザイン性を広げる.それらが,複数の研究成果を生むことにも繋がると考える.第3に,特養における入居者EOLケアにかかわった介護職員,入居者家族などに,インタビューし,その実態を明らかにする.特養において入居者が最期を迎えた事例を取り上げて,入居者家族,介護職員,施設など,多角的な視点から、考察を加える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は,エフォートを20%にしている.2022年度は,コロナ禍において,授業開講が対面及びオンラインなど,流動的な開講形式となった.また夏季と春季に行った実習巡回指導においても施設職員,実習生及びその家族などが,COVID-19に感染し,急遽,対応せざるを得ない状況が続き,研究活動に費やす20%の時間を確保することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には,3つの課題をあげている.第1に,原著論文を学術雑誌に投稿し,研究成果をあげる.第2に,EOLケア理論生成の基礎を固める第3に,特養における入居者EOLケアの実態を明らかにする. 上記,3つの課題を推進するためには,時間を管理する,ことを最優先にあげる.今年度における授業開講,学内及び学科内の委員会活動,研究活動など,スケジュールを計画的に管理し,研究活動に充てた20%の時間を,必ず確保する.
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Causes of Carryover |
2023年度における主な課題は,以下の通りである.第1に,原著論文を学術雑誌に投稿し,研究成果をあげる.本研究の着眼は,特養の介護職員によるEOLケアである.しかし養成課程における学生の死生観形成について言及することで,専門職として入居者ケアにあたる際に,入居者が必要としているEOLケア実践に繋がると考える.第2に,アンケート内自由記述欄に記述された内容を質的に分析することである.前述したように,詳細な分析により,データ入力方法が異なることが判明した.そのため,今年度はアウトソーシングによるデータ入力後,分析することで,特養介護職員によるEOLケア理論の基礎を固める.第3に,特養の介護職による入居者EOLケアの実態を明らかにすることであった.この際に,介護職員や入居者家族などを対象に,インタビューを実施する. 以上のことから,物品費・旅費・人件費などの直接経費,間接経費の使用が必要となる.
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