2021 Fiscal Year Research-status Report
他者への接近動機喚起メカニズム:かわいさ知覚と身体的反応の相互作用を指標として
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21K13679
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藏口 佳奈 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70791432)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 実験心理学 / 社会心理学 / かわいさ / 魅力 / 顔 / 接近反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,対峙する他者への接近動機や援助行動の表出機序の一端を明らかにすることを目的としている。その切り口として,かわいさ知覚に伴う身体的反応や知覚・認知的変容の生起プロセスが接近動機の喚起と直接的に結びついている可能性に着目する。 2021年度は,主に(1)かわいさ知覚に関する研究知見の文献調査と(2)かわいさ知覚時の身体的反応生起に関する検証を行った。文献調査の成果としては,評論論文を執筆し現在審査中である。身体的反応生起の検証については,画像観察時の重心動揺と画像のかわいさ評定の相関関係を検証した。成人女性顔画像,乳幼児顔画像,人物以外の画像を観察している際の重心動揺を接近反応の指標として測定し,各画像の評定値との関連を調べたところ,女性参加者ではかわいさ評定との関連が見られ,特に成人女性顔のかわいさ評定と接近反応が負の相関を示した。一方で男性参加者ではかわいさ評定との関連は見られなかった。当該成果は国内外の学会で発表したうえで論文にまとめ現在審査中である。またかわいさ知覚時の身体的反応生起に関しては,他に瞳孔反応に着目し,画像のかわいさ評定と瞳孔変化率が相関していることを明らかにした。当該成果はすでに査読付き論文として公開されている。 以上の結果から,かわいさ知覚時に身体的反応が生起することは明らかであるが,実験条件を今後さらに精査し,かわいさ知覚に伴う身体的反応の生起機序をより詳らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は査読付き論文を1本刊行した。また,現在投稿中(査読中)の論文が2本ある。そのため,本研究の実施状況はおおむね良好であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を踏まえ,より詳細な要因の検討を進めることで計画をさらに発展的に展開する。
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Causes of Carryover |
2021年度では,出張にかかる旅費が抑制されたこと,論文投稿にかかる費用を学内の研究支援により賄ったことから,予定よりも支出額が少なくなった。2022年度の支出計画では,実験実施にかかる費用としての支出を予定している。
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Research Products
(4 results)