2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the cognitive mechanism of the analogy effect for efficient spatial thinking
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21K13750
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 拓之 京都大学, 人と社会の未来研究院, 特定助教 (60867505)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 空間的思考 / 心的回転 / アナロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
人の空間的思考におけるアナロジー効果(物体を人や動物の姿に見立てることでその物体に対する心的な操作が容易になる現象)のメカニズムを解明するために複数の実験を実施した。本年度の主な成果は以下の通りである。(1) アナロジー効果には,物体自体を人の身体に似せることで付与される視覚情報に喚起される受動的過程 (刺激駆動型プロセス) と,物体を人の姿に見立てることができるという知識に誘発される能動的過程 (知識駆動型プロセス) の両方が存在し,実験課題によって分離できることを明らかにした(日本心理学会学術大会優秀発表賞を受賞)。(2) 知識駆動型プロセスによる効率化はオンライン実験でも確認されたが,その効果は従来考えられていたよりも小さいことが明らかになった。(3) 人の身体のアナロジーと動物のアナロジーは,空間的思考に対して見かけ上類似した促進効果をもたらすが,両者のメカニズムは必ずしも同一とは言えないことを明らかにした。これらの研究成果は,アナロジー効果が生起する条件の解明および人の身体図式 (人が持つ身体に関する知識) が果たす役割の解明への第一歩として位置付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新型コロナウィルス感染症の影響もあり対面実験はあまり実施できなかったが,オンラインでの実験環境を整えることで大量のデータを収集することができ,アナロジー効果の有効範囲と身体図式の役割に関する知見が得られたため,おおむね当初の計画通りに研究を進めることができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
アナロジー効果の有効範囲と身体図式の役割をさらに詳細に検討するために,刺激のバリエーションを拡張して引き続きオンライン実験を実施する。具体的には,物体が有する(1)人体との構造的/機能的類似性,(2)親近性,および(3)内的な軸の利用可能性の役割を明らかにしていく。また,今後は対面実験により姿勢や身体の状態を操作し,空間的思考に対する身体感覚の媒介効果についても検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響により,ほとんどの学術大会および研究会がオンラインで開催されたため,旅費の支出が不要となった。次年度は既にいくつかの学会が対面で行われることが決定しているため,国内外のいくつかの学会に参加し今年度の研究成果を発表する予定である。また,本研究の成果をまとめた論文の採択が年度内に間に合わなかったため掲載料の支出が延期となった。次年度は現在投稿中の論文と新規の論文の掲載料・英文校正費などに繰り越し分の予算を充てる。翌年度分として請求した助成金に関しては,当初の計画通り主に実験の構築とデータの収集のために使用する。
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Research Products
(2 results)