2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13751
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 司 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70845594)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 予測 / 課題非関連情報 / 事象関連脳電位 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,長期的予測の認知処理メカニズムを解明することを目的としている.予測から実際にイベントが生じるまでに時間的な遅延がある場面では,周辺情報を利用することで予測精度が維持される.本研究では,周辺情報を利用した長期的予測が行われる際の認知処理メカニズムについて,経時的な時系列データであり,これを分析可能な脳波を指標とし解明する. 本年度は長期的予測時の周辺情報への処理について、実験,データ分析,論文投稿を行った.実験では,視覚の色弁別課題を実施し,この課題関連刺激間の刺激間間隔に時間遅延を設けた(3000 ms).この遅延中に課題非関連刺激(白色光点)を呈示し,条件間でその数を操作した(1回呈示,3回呈示).実験中は脳波を記録し,各課題非関連刺激間と課題関連刺激直前のCNVを分析した.CNVは時間的予測を反映するERPであり,課題非関連刺激の操作によって課題関連刺激への予測が維持されるのであればCNVに変化が生じると予測した.実験の結果,課題非関連刺激を多く呈示する条件(3回呈示)の課題関連刺激直前にCNV振幅が最大となった.これは,課題非関連刺激を定期的に呈示することで,実際に課題刺激が呈示されるまでに時間的な遅延がある場面においても予測が維持されることを示している.さらに,この条件では課題非関係刺激間でCNV振幅が変化した.これは,課題非関係刺激の効率的な処理による長期的予測の維持機能の存在を示唆している.これらの結果は,国際学術誌へ投稿済である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載の通り実験の実施と論文投稿が行われたため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に記載の通り,周辺情報の特性を操作することで,長期的予測の維持に有用な諸要因を明らかにする.この目的のため実験の実施,分析,論文投稿及び学会発表を行う. また,2021年度の研究成果に対し,周辺情報による長期的予測の維持が容易な状況と困難な状況が存在する可能性が示唆された.そのため,この状況要因も長期的予測の維持に有用な諸要因の検討に含まれる要因として検討する.
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた学会,論文発表ができなかったため,次年度使用額が生じた.2022年度は得られた実験結果について,学会発表,論文発表を行い,英文校閲費,論文掲載費など成果発表のために研究費を使用する予定である.
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