2021 Fiscal Year Research-status Report
超海洋パンサラッサ海における複合化石生層序と安定同位体比層序
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21K14036
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
前川 匠 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 学芸員 (20827331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コノドント / アンモノイド / 放散虫 / 環太平洋地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果の一部が国際誌(1編)と国内誌(1編)に掲載された。新型コロナウイルス感染症の断続的な感染拡大により、現地の調査活動は実施できなかったが、2019年までに採集していた宮崎県・愛媛県・岩手県・北アメリカの石灰岩試料から、微化石の抽出を進めた。北アメリカの試料は、前期三畳紀のコノドント化石とアンモノイド化石を豊富に含んでおり、国際的に重要な地質年代の指標種が多数含まれていた。これらのコノドント化石とアンモノイド化石の記載と地質年代についての論文が、それぞれPaleontological Research誌とNew Mexico Museumの紀要に掲載された。岩手県の試料からは、石炭紀のコノドント化石を抽出した。今後、種を同定し、詳しい地質年代を決定する予定である。愛媛県と宮崎県の試料からは、前期~後期三畳紀のコノドント化石を含む微化石を多数抽出した。宮崎県の試料については、日本古生物学会第171回例会において、暫定的な調査結果を発表した。次年度に追加の試料採集を行って不足しているデータを補い、査読誌に投稿する予定である。また、本研究課題に関係する研究成果が、共著論文として、Revue de Micropaleontologie 誌に掲載された。 北アメリカの調査については、現地の研究協力者と次年度以降の調査計画を策定し、関係機関に調査申請書を提出した。 東ティモールでの調査は、現地までの航空便が運航を停止しており、再開が難しい状況にある。研究協力者と協議して、早い時期の調査の再開を模索していく。 国内での調査は、感染症対策を実施して再開していく予定である。特に宮崎県と愛媛県における地質調査と、安定炭素同位体試料の分析を早急に進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の3度の感染拡大(第4波~6波)により、半年以上、府県をまたぐ移動を自粛したため、予定していた調査地での地質調査を一切行うことができなかった。同様に他の研究機関での試料分析なども実施できなかった。一方で、2019年までに採集していた石灰岩試料から微化石の抽出を進めることができた。また、移動制限が解除された期間に京都府南部や和歌山県西部で新規の調査地の開拓を進めた。一部の地域では、研究対処となる微化石が抽出できたため、次年度以降により詳しい現地調査の実施を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の調査は、今年度までに研究結果がまとまりつつある宮崎県と愛媛県を中心に再開していく。また、安定炭素同位体比の分析は、既存の試料から順次実施していく予定である。海外での調査は、現地の協力者と緊密に連携を取り、調査再開を模索していく。特に入国時と帰国時の隔離期間が必要なくなったタイミングでの再開を考えている。北アメリカの試料については、渡航できない場合、現地の協力者に追加資料の採集を進めてもらう予定である。
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Causes of Carryover |
予定していて国内外の調査を実施できなかったため、その必要経費(旅費、人件費、謝金など)が未使用となった。また、研究用備品(真空蒸着装置)をほかの助成金で購入したため、その分も未使用となった。
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