2021 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of photovoltaic cell examination with the modulated light irradiation method in generating photovoltaic modules
Project/Area Number |
21K14147
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小林 靖之 帝京大学, 理工学部, 准教授 (00604513)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 太陽光発電システム / 太陽電池 / 発電中検査 / 並列抵抗成分 / セル電圧揺らぎ / 変調光照射法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は①研究代表者の開発した変調光照射法を拡張して発電中太陽電池モジュール内の太陽電池セル個々の並列抵抗成分の非接触推定を実現すること、②自然太陽光下のモジュール内セル動作電圧について、観測地点上空の大気揺らぎに由来する太陽電池セルの電圧揺らぎと気象現象との相関や揺らぎを含む電圧の適正条件を把握すること、③変調光照射法によるモジュール内各セルの状態推定(セル並列抵抗成分や揺らぎを含む動作電圧)と既存手法(EL法やサーモグラフィ検査)を融合したモジュールの劣化基準を提案することである。 本研究では上記①②の準備のため、変調光照射法で重要な変調光照射装置とロックインアンプについて、変調器付き半導体レーザによる1kHz以上の周波数と任意波形による高速変調を実現し、さらにデジタルロックインアンプを導入した。これらを用いて発電中モジュールへ周期変化する入射光を照射した際に変化するセル電圧をリアルタイム測定の試験を進めている。なお、本研究開始前の研究では、機械式チョッパによる低い周波数の変調光と遅いアナログロックインアンプを使用していたため、発電中太陽電池モジュール内のセル電圧について平均値しか推定できなかった。 さらに①について発電中太陽電池モジュール内の測定対象セルを部分遮光した際に容易に測定可能なモジュール電流と遮光率の関係から測定対象セルの並列抵抗成分を推定する方法を考案・検証し、特許出願した。他に多接合太陽電池へ変調光照射法の応用特許も出願した。 ②について自然太陽光の強度揺らぎを測定するため、フォトダイオードによる入射光強度波形の測定装置や、入射光の強度揺らぎと発電中太陽電池モジュール内のセル電圧を同時に測定するシステムを開発した。自然太陽光は様々な周波数成分が混じった複雑な波形であることと、100Hzで周期変化する人工光を入射すると両者に強い相関を確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①変調光照射法を拡張し発電中太陽電池モジュール内の太陽電池セル個々の並列抵抗成分の非接触推定を実現すること、②自然太陽光下のモジュール内セル動作電圧揺らぎと気象現象との相関を把握することの前提として、測定対象セル電圧のリアルタイム測定が不可欠である。既存の機械式チョッパ・アナログロックインアンプに代わり、高速変調可能な変調器付き半導体レーザとデジタルロックインアンプを導入し、発電中モジュールへ周期変化する入射光を照射した際に変化するセル電圧をリアルタイム測定を試みたところ、対象太陽電池セルの動作電圧が変化するほど強い変調レーザ光強度であれば、セル電圧の波形とロックインアンプの出力波形が反転するという理論で想定通りの実験結果が得られた。実用には変調レーザ光の照射による太陽電池セルの動作電圧の変化ができるだけ小さい方が望ましいため、変調レーザ光強度を抑えつつ理論で想定通りの結果が得られる実験条件を探している中、ロックインアンプへの入力信号のわずかな増幅で変調レーザ光強度の抑制ができた。 ①モジュール内の太陽電池セル個々の並列抵抗成分の非接触推定の一環として、測定対象セルを部分遮光した際のモジュール電流と遮光率の関係から測定対象セルの並列抵抗成分を推定する方法を考案・検証し、特願2022-011933号(2022年1月28日出願)として特許出願した。他に多接合太陽電池への変調光照射法の応用特許も特願2021-181765号(2021年11月08日出願)として特許出願した。 ②の自然太陽光の強度揺らぎ測定のため、フォトダイオード(PD)による入射光強度揺らぎと発電中太陽電池モジュール内のセル電圧を同時に測定するシステムを開発した。100Hzで周期変化する人工光を入射すると両者に強い相関を確認できたものの、自然太陽光についてPDとセル電圧の明確な相関はまだ得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
①変調光照射法を拡張し発電中太陽電池モジュール内の太陽電池セル個々の並列抵抗成分の非接触推定を実現すること、②自然太陽光下のモジュール内セル動作電圧揺らぎと気象現象との相関を把握することの前提として、測定対象セル電圧のリアルタイム測定を実現するため、高速変調可能な変調器付き半導体レーザとデジタルロックインアンプを導入し最適な設定条件を明らかにする必要がある。測定対象セル電圧への干渉を抑制するために変調レーザ光強度を抑え理論で想定通りの結果が得られる実験条件を探している中、ロックインアンプへの入力信号のわずかな増幅で変調レーザ光強度の抑制ができたことから、ロックインアンプの入力前段に挿入するプリアンプの最適条件を研究していく。さらに、変調器付き半導体レーザは既存の方形波の他に正弦波など任意波形に対応するため、測定対象セル電圧のリアルタイム測定に最適な変調波形・レーザ光強度・ロックインアンプの最適条件も研究していく。以上を実現した上で①モジュール内の太陽電池セル個々の並列抵抗成分の非接触推定へ本格的に取り組む予定である。 ②の自然太陽光の強度揺らぎ測定には、小面積であるフォトダイオード(PD)は自然太陽光の強度揺らぎの局所変化の観察に最適だが、星や太陽光の大気揺らぎに関する研究論文の調査から、PDで得られる局所変化を位置平均した入射光が大面積である太陽電池の出力に影響する可能性がある。そこで、PDに代わり太陽電池1個を用いた場合の自然太陽光の強度揺らぎ測定装置の開発を研究していく。これにより、太陽電池が実効的に感じる自然太陽光の強度揺らぎと発電中太陽電池モジュール内のセル電圧との間に相関があるかを検証していく。 以上①②を実現した上で、③変調光照射法によるモジュール内各セルの状態推定と既存手法を融合する研究に取り組んでいく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は次の通りである。新型コロナウイルスの流行により、予定していた国内学会への出席を見送ったこと、さらに勤務大学の新型コロナウイルス対応により本研究の進捗が遅れたこと、同時に実施している科研費研究(19K20224)の研究も上記の新型コロナウイルスの流行に伴い進捗が遅れ、本科研費研究(21K20224)と同時進行しているためである。 次年度使用額は令和4年度に充当する計画である。まずは令和3年度の研究成果を発展した実験を進めるために必要な実験機材の購入費に充当する。さらに、英文論文誌へ投稿するための英文校正費や国内学会・国際学会で発表するための学会参加費や旅費に充当する予定である。
|
Research Products
(3 results)