2022 Fiscal Year Research-status Report
トランススケール力学評価手法によるTi-6Al-4V積層造形材の変形機構の解明
Project/Area Number |
21K14427
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
郭 光植 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (90847170)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Ti-6Al-4V合金 / バスケットウィーブ / マイクロ引張試験 / 塑性異方性 / 結晶塑性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
積層造形により造られたTi-6Al-4V合金の形状と材質パラメータが同時に制御できれば,航空宇宙ならびに医療機器産業における多様なニーズに対応でき,持続可能な社会の実現に大きく貢献できる.これまで,Ti-6Al-4V積層造形材では,HCP構造が持つ異方的性質に加え,造形中に発達する階層的な微視組織形態が重畳して現れることが変形機構の理解を妨げてきた.これまでに材料の微小領域から切り出した微小試験片に対してマイクロ引張試験を実施し,さらに,実験結果に基づく結晶塑性有限要素解析を融合させた研究により,微視組織の力学特性と変形機構の解明を行ってきた.この手法を用いてTi-6Al-4V積層造形体バスケットウィーブ組織の力学特性をトランススケール的に評価する。2022年度においては、前年度に実施したマイクロ引張試験結果に基づき、その変形挙動を定量的に表現可能な力学解析手法の構築を試みた。マイクロ引張試験片の微視構造を忠実に再現した解析モデルを作成し、初期の結晶方位としては、電子線後方散乱回折により得られたオイラー角を各要素に割り当てた。TI-6Al-4V積層造形体バスケットウィーブ組織は各バリアントが互いに入り組んだ非常に複雑な組織形態をしているが、結晶塑性解析では、対象となるマイクロ引張試験片の3次元的な組織構造を解析モデルに反映させることが困難であるため、厚さ方向には同一な結晶方位が配置されていると仮定した。変形挙動における定量的な検討のためには計算精度を上げる必要があるが、各試験片における応力―ひずみ応答を再現することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バスケットウィーブ組織の単一クラスター構造体の実験結果に基づいて結晶塑性解析手法を構築している.また,各試験片における実験結果の信頼性を確保するための再現実験も行えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度に構築した結晶塑性解析手法の制度を向上させ,変形挙動の定量的な解析ができるように改良を行う.さらに,複数のクラスターを含むような試験片を作製し引張試験を供する.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染状況により,ほとんどの学会または学術交流会が中止となったため,旅費として計上していた予算が使用できなかった.この予算は次年 度に付帯設備の購入ならびに国際会議発表のための海外渡航費にあてる.
|