2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体内氷晶のX線ナノスケール観測に基づいた不凍タンパク質多細胞系凍結保存法の確立
Project/Area Number |
21K14466
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
倉持 昌弘 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (60805810)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 不凍タンパク質 / 線虫 / 凍結保存 / 氷晶制御 / 熱ヒステリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
不凍タンパク質(Antifreeze Protein: AFP)は、氷晶成長を抑制するユニークな機能をもつ。これまでに、魚や菌類由来のAFP遺伝子を線虫C.エレガンスに導 入し、凍結環境における耐性獲得と、2度から4度程度における低温耐性の改善を見出した。AFPは、個体生物体内でも氷晶成長阻害と細胞保護という2つの機能を発揮できることがわかった。これらの作用は、多細胞生物の凍結保存においても効果的に機能すると考えられる。そこで本課題では、AFPの最も有効な凍結保存法の確立を目指し、その効果検証およびAFPによる氷晶制御のX線ナノスケール計測を実施した。 AFPを遺伝子導入した線虫を用いて、凍結保存後の線虫生存率を評価した。その結果、AFPを発現する線虫生存率は、AFPを発現しない線虫と比較して高いことがわかった。また、AFP機能欠損変異体を用いた解析から、AFPの氷晶制御機能が個体生物の凍結保存でも重要な要素であることがわかった。これら成果の一部を論文として発表した。 次に、AFPによる氷晶制御の様子を生体内で捉えるX線ナノスケール計測を実施した。Diffracted X-ray Blinking (DXB)法を線虫に適用し、線虫体内の分子動態をin vivo評価した。興味深いことに、野生型AFPと機能欠損AFP変異体とで、-5, -10℃における分子ダイナミクスが定性的に異なることがわかった。野生型AFPは運動低下を示し、変異AFPは運動上昇を示す。これは野生型AFPは瞬時に氷の微結晶に結合し、運動低下するのに対し、AFP変異体は氷晶と結合できず、発生した氷晶に押し出されることで運動上昇を示す可能性を示唆している。凍結保存におけるAFPの効果、また生体内のAFP分子動態の結果を考慮すると、氷晶成長阻害が凍結保存においても重要な機能の1つとして働いていることがわかった。
|
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Visualizing Intramolecular Dynamics of Membrane Proteins2022
Author(s)
Ohkubo Tatsunari、Shiina Takaaki、Kawaguchi Kayoko、Sasaki Daisuke、Inamasu Rena、Yang Yue、Li Zhuoqi、Taninaka Keizaburo、Sakaguchi Masaki、Fujimura Shoko、Sekiguchi Hiroshi、Kuramochi Masahiro、Arai Tatsuya、Tsuda Sakae、Sasaki Yuji C.、Mio Kazuhiro
-
Journal Title
International Journal of Molecular Sciences
Volume: 23
Pages: 14539~14539
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-