2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of photovoltaic effects of chiral perovskites by using nonlinear optical measurement
Project/Area Number |
21K14531
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
野間 大史 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (30846283)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | キラルペロブスカイト / キラリティ / 分極 / バルク光起電力効果 / シフト電流 / 光第二高調波発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラル分子を含有するキラルペロブスカイトは近年盛んに研究されているが、そのバルク光起電力効果は結晶中の分極に基づいた古典的な機構で説明されている。しかしシフト電流と呼ばれる、新たな光電変換機構が関与している可能性もあり、慎重な議論が必要である。本研究課題は、非線形分光測定を用いてキラルペロブスカイトのバルク光起電力効果の発生機構を解明することを目的とした。令和3年度は、光第二高調波発生(SHG)測定によりキラルペロブスカイトの結晶中の分極を確認した後、波長405 nmの光照射によって結晶の非分極軸方向に光起電力が発生すること、および発生した光電流の偏光依存性がシフト電流機構と矛盾が無いことを明らかにした。 令和4年度は、前年度発見した光起電力の起源がシフト電流であることを実証することを目的として研究を行った。はじめに、照射光の波長を450 nmに変更し、この波長では光起電力がほぼ発生しないことを確認した。その後、第一原理計算によって光励起による電子雲の実空間シフト量を計算した結果、波長405 nmでは有限な値を持つ一方、450 nmではほぼゼロになることが分かり、実験結果と合致した。実験と理論の両面からキラルペロブスカイトの光起電力の起源がシフト電流であることを実証できた。シフト電流は超高速な応答性を示し、かつエネルギー非散逸であることから、光センサへの応用が期待できる。本成果はキラルペロブスカイトの光電変換機構を解明し応用範囲を拡張したという点で学術的にも実用的にも重要な成果であると言える。 また、有機分子キラルサブフタロシアニンの光起電力の発生起源を探究した。当材料においても、光電流の偏光依存性からシフト電流が発生していることが明らかとなった。さらに電場変調測定および理論計算により、当材料のシフト電流の発生にCT励起子が関与していることを明らかにした。
|